フリーランス・個人事業主・自営業の違いは？メリット・デメリットをわかりやすく解説！【2024年最新】

注目を集める働き方、個人事業主、フリーランス、自営業にはそれぞれどのような特徴があるか、また税金的な面の違いを知り、どっちを選択すべきか悩んでいる人も多いかと思います。

内閣官房でも新しい働き方の定着として兼業・副業やフリーランスなどを推進することにより、リモートワークによって地方創生や分散型居住を可能とする社会を実現し、Society 5.0時代に活躍できる人材を育成するという会議が行われていたり、個人事業主、フリーランス、自営業に関する新しい法律として「インボイス制度」や「フリーランス・事業者間取引適正化等法」が施行されました。

この記事では、個人事業主、フリーランス、自営業の働き方の比較、メリット・デメリットについて解説します。また、自分に適した働き方を見つけるためのポイント、副業からの独立について、個人事業や法人を始めるために必要な開業届についても紹介します。

フリーランスと個人事業主・自営業の違いをわかりやすく解説

フリーランス、個人事業主、自営業。これらの働き方は一見似ていますが、各々に独自の特徴と違いがあります。ここでは、それぞれの働き方の違いを具体的に、わかりやすく解説します。

フリーランス

フリーランスは、独立した個人として働くプロフェッショナルで、専門的なスキルやサービスを提供し、クライアントとプロジェクトごとの契約を結びます。

フリーランスは自分のスケジュールを管理し、自身の価格設定を行うため、働き方は、柔軟性が高く独立心のある人々に向いています。

代表的なフリーランスの職種には、ライター、デザイナー、プログラマーなどがあります。

個人事業主

個人事業主は、自分自身を法的な会社として登録し、ビジネスを運営する個人で、独自の製品やサービスを提供し、収益を上げるために事業を運営します。

個人事業主は、会社の財務を管理し、税金を申告・納付する責任があり、この働き方は、独立した経済的な活動を行うために適しています。

自営業

自営業者は、自分自身の事業を運営し、その事業で収益を得て生計を立てる個人で、独自の店舗やサービスを提供し、収益を上げるために営業活動を行います。

自営業者は、飲食業、小売業、手工業など、さまざまな分野で活動して、自営業は特に地域社会に貢献する重要な役割を果たしています。

フリーランスや個人事業主に似た働き方

フリーランスや個人事業主に似た働き方として、業務委託とノマドワーカーがあります。

業務委託

業務委託は、企業が特定のプロジェクトや業務を外部の個人や会社に委託する方法です。

企業は必要なスキルや専門知識を持つ委託業者を選び、プロジェクトを効果的に実施します。

業務委託は、効率性と専門性を追求するための有力な手段です。

ノマドワーカー

ノマドワーカーは、場所に固定されずに仕事をする人々を指し、通常はインターネット接続がある場所から仕事を行い、自由なスケジュールを持ちます。

ノマドワーカーは、デジタルノマドとしても知られており、世界中を旅しながら仕事をすることができます。

したがって、「場所に縛られず働きたい」「自分のリズムで働きたい」などの考えを持つ方には、ノマドワーカーという働き方が最適かもしれません。さらに、これからの働き方のトレンドとしてこの働き方を取り入れておけば、より良い条件で働く可能性が広がるかもしれません。

フリーランスや個人事業主は増加傾向にある

近年、フリーランスや個人事業主の数が顕著に増加しています。この傾向は、終身雇用の衰退や働き方の多様化とテクノロジーの進展によるもので、多くのプロフェッショナルたちに新たな機会を提供しています。

フリーランスや個人事業主として働くことは、従来の雇用形態とは異なる自由度と柔軟性をもたらし、専門性や個性を活かした仕事を追求することができます。

内閣府の「政策課題分析シリ－ズ 17日本のフリーランスについて」でも、特定の発注者に依存する自営業主、いわゆる雇用的自営業等（フリーランス・個人事業主）は、増加傾向にある。と記されています。

会社員からフリーランス・個人事業主になった人の体験談

会社員からフリーランス・個人事業主になった人の体験談を紹介します。

フリーランス・個人事業主・自営業それぞれのメリット・デメリットは？

フリーランス、自営業、個人事業主という働き方の選択は、自由度の高さとやりがいを提供しますが、それぞれのメリットとデメリットも理解しておく必要があります。

フリーランスのメリット

フリーランスは、仕事の柔軟なスケジュールを持ち、クライアントに対して専門的なサービスを提供できます。自分のスキルを生かして仕事を受注し、クライアントとのコミュニケーションを重視できる点が魅力です。

フリーランスのメリット1: 好きな場所で仕事ができる

フリーランスは自宅やカフェなど、好きな場所で仕事をする自由があります。これにより、仕事とプライベートのバランスを取りやすく、生産性を高めることができます。

フリーランスのメリット2: 多くの取引先と仕事ができる

フリーランスは多様なクライアントやプロジェクトに関わることができ、これにより広範な経験を積むことが可能です。また、様々な業界や分野でのスキルを磨くこともできます。

フリーランスのメリット3: スキルを生かして仕事ができる

フリーランスは自身の専門スキルや興味を生かして仕事を選択できます。これにより、自己実現の機会が増え、仕事への満足感を高めることができます。

フリーランスのデメリット

フリーランスのデメリットとしては、安定した収入を確保することが難しく、顧客獲得に時間と労力を費やす必要があります。社会保障などの福祉制度が不十分であるため、自身で保険などの面倒な手続きを行う必要があります。

フリーランスのデメリット1: 信用力が小さい

フリーランスは信用力が企業に比べて低いため、特にビジネスの初期段階では信頼を築くための追加の努力が必要です。これは特に金融機関や大規模な取引先との関係構築に影響を及ぼす場合があります。

フリーランスのデメリット2: 収入が安定しない

フリーランスは仕事の流れにより収入が不安定になることがあります。プロジェクトの獲得や終了に伴う収入の波は、経済的な計画を困難にすることがあります

フリーランスのデメリット3: 保険や年金を自分で管理しなければならない

フリーランスは、健康保険や年金などの福利厚生を自分で管理しなければなりません。これは従業員として働く場合に比べて、追加の費用と時間

個人事業主のメリット

個人事業とは、自身だけで事業を行うことです。この形態は多くのメリットがあります。自分自身のビジネスを経営し、収益を全て自身で管理できるため、経済的な自由があります。また、自身のビジネスに情熱を注ぎ、自分のビジョンを実現できる点も魅力です。

メリット１．所得が低い場合は、法人より税率が低い

個人事業主は、所得が低い場合に法人事業主と比べて税率が低くなる傾向があります。これは、特に事業を立ち上げたばかりの段階での財務負担を軽減する効果があります。

メリット２．節税効果の高い青色申告特別控除が利用できる

青色申告特別控除を利用することで、所得から最大65万円の控除を受けることができます。これは、税金の負担を大幅に軽減することができる大きなメリットです。

メリット３．屋号があれば信用を得やすい

屋号を持つことで、事業としての信用を築きやすくなります。これは、取引先との関係構築や顧客からの信頼獲得に有効です。

個人事業主のデメリット

個人事業主のデメリットとしては、ビジネスの運営や法的な手続きに責任を持たなければなりません。税金や経理、法的規制についての知識が必要であり、リスクを負うこともあります。安定した収入を得るためには、顧客の獲得が重要です。

デメリット１．自分で確定申告しなければいけない

個人事業主は、自分自身で確定申告を行う必要があります。これは、税務に関する知識や手間が必要となるための負担です。

デメリット２．社会保険料を全額払う必要がある

個人事業主は、自分自身で社会保険料を全額支払う必要があります。これは、会社員と比べると高い財務負担となり得ます。

デメリット３．会社員と比べ社会的な信用の確保に手間がかかる

個人事業主は、会社員と比べて社会的な信用を築くのに時間がかかることがあります。これは、特に事業を始めたばかりの頃に顕著です。

自営業のメリット

自営業者のメリットは、自身のビジネスを所有し、全ての決定権を握りれることです。収益は自身の努力に比例して増加し、経済的な独立性があります。自営業者は自分のビジネスを愛し、自分のやりたいことに没頭できる点が魅力です。

自営業のメリット1: 定年退職がない

自営業者には、定年退職の制限がないため、自分のペースで長期間働くことが可能です。また、自らのスケジュールを決め、仕事と私生活のバランスを取りやすいです。

自営業のメリット2: 収入の上限がない

自営業者は、自分のビジネスや努力によって収入を増やすことができます。これは、従業員として働く場合の固定給とは異なり、実力次第で高い収入を目指せるというメリットがあります。自分の努力が直接収入に反映されるのは、自営業の大きな魅力の一つです。

自営業のメリット3: 専門知識を活かし独自のビジネスを築くことができる

自営業を通じて、自分だけのユニークなビジネスを築くことができます。自分の情熱や専門知識を活かし、市場に新しい価値を提供することで、個性を発揮し、業界に新たな風を吹き込むことが可能です。

自営業のデメリット

自営業のデメリットは、ビジネスの全てに責任を負うことです。収益が不安定であり、経営に伴うリスクが存在します。また、ビジネス運営には時間がかかり、労力が必要です。競争も激しく、市場での成功が保証されているわけではありません。

自営業のデメリット1: 確定申告の手間がかかる

自営業者は確定申告を自身で行う必要があり、これには税法の理解と計算の正確さが求められます。特に複雑な税務処理は専門的な知識が必要となります。

自営業のデメリット2: ケガや病気で働けなくなると、収入が途絶える可能性がある

自営業者がケガや病気で働けなくなると収入が途絶えるリスクがあります。これは、安定した収入源を持たない自営業者にとって大きな不安要素です。

自営業のデメリット3: 福利厚生がない

自営業者は福利厚生を自己負担する必要があり、これには健康保険や年金などの費用が含まれます。これらのコストは特に初期段階では大きな負担となる可能性があります。

フリーランス・個人事業主・自営業の社会保険や税金について

この記事では、フリーランス、個人事業主、自営業者に関する社会保険や税金について解説します。

社会保険

社会保険とは、健康保険や年金保険など、社会的なリスクに備えるための公的保険制度を指します。フリーランスや個人事業主、自営業者も、これらの保険に加入することが一般的です。これにより、病気や怪我、老後の生活保障が提供されます。

年金

年金制度に加入することは、将来の生活を保障するために重要です。フリーランスや個人事業主、自営業者は、国民年金や厚生年金に加入することで、年金を受け取る資格を獲得できます。正確な納付と加入期間の管理が将来の年金受給額に影響します。

所得税

所得税は、個人の年間所得に対して課される税金です。フリーランスや個人事業主、自営業者は、自身の所得を確定申告し、所得税を自己計算し納税します。所得額に応じた税率が適用されます。

住民税

住民税は、居住地に基づいて課される地方税です。この税金は、前年の所得に基づいて計算され、年間所得に応じて異なります。個人事業主や自営業者、フリーランスも、所得に応じて住民税を納める必要があります。

個人事業税

個人事業税は、個人事業主の所得に対して課される地方税です。この税金は、事業所得に基づいて計算され、地方自治体によって異なる税率が適用される場合があります。確定申告時に計算し、納税します。

消費税

消費税は、商品やサービスの提供に対して課される間接税です。一定の売上高を超える個人事業主、自営業者、フリーランスは消費税の納税義務があります。これには、課税売上高に基づいた税額の計算と納税が含まれます。

フリーランス・個人事業主・自営業の始め方

個人事業主、自営業者、フリーランスになるための手続きは、簡潔でありながら重要なステップを含みます。これらの手続きを正しく行うことで、ビジネスをスムーズに開始することができます。

フリーランスから個人事業主になる場合は開業届が必要

フリーランスから個人事業主になる場合は、税務署への開業届の提出が必要です。これは、事業を開始した日から1ヶ月以内に行う必要があります。開業届は、税務上の正式な事業者として登録されるための重要な手続きです。

会社員から個人事業主になる時に、健康保険と年金の手続きが必要

会社員から個人事業主になる場合、健康保険と年金の手続きが必要です。会社員時代に加入していた健康保険から国民健康保険への切り替え、また厚生年金から国民年金への切り替えが必要になります。これらの保険は、個人事業主としての生活を守るために不可欠です。

自営業（法人）の場合は登記も必要

法人として事業を行う場合は、法人登記を行う必要があります。これには、会社設立時の公証人役場での手続きや登記所での登記が含まれます。法人登記は、法人としての正式なビジネス運営を始めるための重要なステップです。

フリーランス・個人事業主・自営業の取引に関連する書類

個人事業主やフリーランス、自営業としてビジネスを運営する際、様々な書類が取引に関連します。特に納品書と請求書は重要な文書であり、ビジネスの円滑な運営に欠かせません。

納品書

納品書は、商品やサービスの提供を受けた際に、提供された内容や数量、価格などの詳細情報を記録する書類です。納品書は以下の情報を含むことが一般的です。

• 発行日
• 取引先（顧客）の情報
• 商品やサービスの詳細
• 数量と単価
• 合計金額
• 支払い条件

納品書は取引の証拠として重要であり、取引先に提供することで、取引内容の明確さを確保し、支払いのトラブルを防ぎます。また、納品書は税務申告や帳簿管理にも役立ちます。

請求書

請求書は、提供した商品やサービスに対する代金を請求するための書類です。請求書には以下の情報が含まれます。

• 発行日
• 請求先（顧客）の情報
• 提供した商品やサービスの詳細
• 数量と単価
• 合計金額
• 支払い期限

請求書はビジネスの収益を追跡し、顧客に支払いを促すための重要なツールです。支払い期限を守らせるために、明確で正確な請求書を提供することが不可欠です。

納品書と請求書はビジネスの効率性と信頼性を向上させるために欠かせない書類であり、個人事業主はこれらの書類を適切に作成・管理することが成功の鍵と言えます。

フリーランス・個人事業主・自営業の取引に関連する法律

フリーランス、個人事業主、自営業者がビジネスを行う際、いくつかの重要な法律が取引に影響を及ぼします。特にインボイス制度や事業者間取引の適正化に関する法律は、これらのビジネス運営に直接関連しています。

インボイス制度

インボイス制度は、消費税の適正な徴収と透明性を高めるために導入されました。この制度では、取引時に特定の要件を満たしたインボイス（請求書）を発行することが必要です。フリーランスや個人事業主にとって、この制度の適切な理解と対応は、税務処理の正確性を保つ上で不可欠です。

フリーランス・事業者間取引適正化等法

フリーランス・事業者間取引適正化等法は、フリーランスや個人事業主と他の事業者間の取引における公平性を確保することを目的としています。

具体的には、契約の不公正な条件や支払いの遅延などを防ぐための規定を含んでいます。この法律により、フリーランスや個人事業主の権利が保護され、安定した取引環境の構築が促進されます。

フリーランス・個人事業主・自営業に関連するよくある質問

個人事業主・自営業・フリーランスに関連するよくある質問についてご紹介します。

節税対策に有効な方法は？(経費や控除)

節税は、個人事業主や自営業者にとって重要な経営戦略の一つです。経費の計上と控除の活用は、税金負担を軽減する効果的な手段として知られています。

経費の計上

経費の適切な計上は、節税の一環です。事業に関連するさまざまな支出を経費として計上することで、課税所得を減らすことが可能です。これにはオフィス用品の購入、交通費、広告費、電話代などが含まれます。適切に経費を計上することで、法人税や所得税の節税につながります。

控除の活用

個人事業主や自営業者は、さまざまな税制上の控除を利用できます。これには基礎控除、配偶者控除、扶養控除などがあり、これらを最大限活用することで税金の負担を軽減できます。また、特定の投資や事業展開に関連する控除も利用可能です。

節税対策にはいくつかのポイントがあります。まず、適切な会計帳簿をつけ、経費や収入を正確に記録しましょう。また、税制改正に注意し、新たな控除や優遇制度を把握することも大切です。専門家のアドバイスを受けることも、節税対策の成功に役立ちます。

副業を行なっている人は開業届を出したほうが良い？

所得が一定額を超えて課税対象となる場合、税法で開業届の提出が義務づけられています。

開業届を提出する最大の利点は、自身の事業活動による経費を所得から引くことが許される点です。これにより、税金の負担を軽減することができます。そのため、税金対策として副業から本業への移行を考えている方には、開業届の提出を強くお勧めします。

起業のベストなタイミングは？

起業のベストなタイミングは個人によって異なります。しかし、適切な準備をすることは成功への近道です。

個人事業主やフリーランスが起業のタイミングを検討する際に考慮すべきポイントがいくつかあります。

マーケットの需要

ビジネスアイデアが市場の需要と一致するかどうかを検討しましょう。需要が高い分野で起業することで、成功の可能性が高まります。

資金の準備

起業には資金が必要です。自己資金や融資を活用し、資金調達の計画を立てましょう。十分な資金がない場合、起業を延期することも検討すべきです。

経験とスキル

起業に必要な経験やスキルを持っているかどうかを評価しましょう。必要なスキルを磨くために時間をかけることも、成功への道に役立ちます。

個人事業主・自営業・フリーランスが受けられる補助金・助成金

個人事業主が受けられる補助金や助成金には様々な種類があります。主なものを以下に紹介します。

IT導入補助金

IT関係ツールの導入を支援する「IT導入補助金」を利用することができます。

インボイスやマイナンバー制度、テレワークなどDXの促進に関するITの導入に30万円～450万円の補助が受けられます。

事業再構築補助金

中小企業（個人事業主・フリーランス・自営業を含む）のコロナ禍における事業・業態転換を支援する目的の補助金で、最大1億円の補助金が得られます。

補助金を利用する事業が原則「過去〜今後のいずれか10年間で、市場規模が10％以上拡大する業種・業態」に属する必要があります。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者（個人事業主・フリーランス・自営業を含む）の事業継続を支援する「小規模事業者持続化補助金」は、最大250万円の補助を受けることができます。

キャリアアップ支援助成金

キャリアアップ支援助成金は、雇用している非正規労働者（派遣社員など）の企業内でキャリアアップにつながる待遇改善に対して出る助成金です。従業員を雇用している個人事業主やフリーランスは多くはないと思われますが、自営業者で従業員を雇用している人は対象者のため助成を受けることができるでしょう。