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SAP FI(財務管理)とはFinancial Accountingの略称であり、会計関連の「財務会計領域」のモジュールです。
SAP FI(財務管理)とSAP CO(管理会計)はSAPシステムにおける独立したコンポーネントであることことから「SAP FICO」などと呼ばれることもありますが、違いとしてSAP FIは企業の投資家や債権者など外部向けに作成する会計処理方法である財務会計をメイン領域とし、外部からの出資や融資を受けるために、社外向けの財務諸表を公開することでステークホルダーからの評価を得ることを目的にしています。
経済産業省が推進するDX推進やSAP 2027年問題を皮切りにERP刷新ブームによりSAP需要は年々高まっており、SAPFIはERP全体構成図の中でもコア機能であるためSAPコンサルタントやSAPエンジニアが活躍する場面が多くあります。
一方で、SAP FIはクライアントの財務管理の業務フローや仕事内容の理解、FIモジュールのシステム機能や役割の専門知識を身につけなければいけない難しさもあります。
本記事では、SAP FI(財務会計)モジュールコンサルタントを目指す方向けに、SAPコンサルティングのプロが「SAP FI(財務会計)の基礎知識とサブモジュールの機能」を初心者にもわかりやすく図解多めで解説していきます。
▼SAPのキャリアパスは様々ある!
本記事を読まれている方はSAPのプロを目指す方が多いと思います。SAPのプロフェッショナルキャリアには「SAPコンサルタント」、「SAPエンジニア」、「SAPフリーランス」と大きく3種類あり、それぞれで案件獲得方法・年収・仕事内容も異なります。そのため、SAPの学習をしながらもそれぞれのキャリアパスや仕事内容をインプットしておきましょう。
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コンサルフリーforSAP/ERPは即戦力のフリーランスが集まるSAP・ERPコンサル集団です。ERP・基幹システム刷新、IT戦略、要件定義、設計/開発、テスト、データ移行、運用保守などSAP(FI/CO/SD/PP/MM)のモジュールコンサル・ABAP開発エンジニアリングなどに特化しており、外資/内資コンサル・ITベンダー・SE出身者が多数在籍しています。
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監修
相馬秀幸
株式会社SowLab 代表取締役
大手製造業・デロイトトーマツコンサルティングを経てフリーコンサルに独立後、コンサル×メディア開発スキルを活かし株式会社SowLabを創業。製造・電子・通信・放送・広告/メディア・エンタメ業界を中心に、経営戦略、新規事業開発、M&A、組織人事戦略、マーケティング・営業戦略、次世代マスメディア戦略、SAP/ERP導入、生成AI活用、WEB設計/開発、SEO戦略など多数のコンサルプロジェクトを経験。
執筆者/運営会社
株式会社SowLab
コンサルフリーマガジン事務局
コンサルフリーマガジンは株式会社SowLab(ソウラボ)が運営する日本最大級のコンサル情報メディア。新規事業開発・組織人事・マーケティング・生成AI・SAP/ERPを専門としたコンサルティング事業、フリーランスエージェント事業(コンサルフリー)、デジタルメディア事業を展開。
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SAP FIとはFinancial Accountingの略称であり、会計関連の財務会計領域の業務機能群(モジュール)です。
SAP FI(財務会計)の概要
モジュール名 | 財務会計(FInancial Accounting) |
略称 | FI |
主な役割/機能 | 社外向け財務諸表(損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー)の作成 サブモジュールとして下記がある。 ・総勘定元帳(FI-GL) ・債権管理(FI-AR) ・債務管理(FI-AR) ・固定資産会計(FI-AA) |
関連性の強いモジュール | 管理会計(CO)、販売管理(SD)、購買/在庫管理(MM)、生産計画/管理(PP) |
SAP FIはSAP ERPの中でも社外向けの財務諸表を作成する役割を持ち、企業のトランザクションデータを集約する総勘定元帳(FI-GL)、債権管理(FI-AR)、債務管理(FI-AR)、固定資産会計(FI-AA)などのサブモジュール機能により構成されています。
そもそも財務会計とは企業の投資家や債権者など外部向けに作成する会計処理方法であり、外部からの出資や融資を受けるために、社外向けの財務諸表を公開することでステークホルダーからの評価を得ることを目的にしています。
SAP ERPの中でも企業の根幹の機能を持つことや、SAP社が会計システムから始めたこともあり、コアモジュールとして導入する企業は多く存在し、実際に、SAP FIの認定コンサルタントも多く、ERPの全体を理解するためにも習得しやすい特徴があります。
SAP FIモジュール(財務会計)を正しく理解する上で、まずはSAP ERP全体のモジュール構成図から理解をすることが大切です。
SAPモジュールとは世界ERPシェアNo1のSAP社(本国ドイツ)が提供するSAP ERP製品が持つ業務プロセス領域別の機能群を意味する言葉です。
SAPモジュールとはわかりやすく言うならERP(Enterprise Resource Planning)が持つ本来のシステムの効果を最大限に発揮するための「個の機能」になります。
ERPシステムとは統合基幹システムとも呼ばれ、下図のように全社の「財務・会計」「人事・給与」「販売・在庫・購買」「生産計画」など業務の垣根なく全体最適での情報を一元化し管理することで業務の効率化を目的としたシステムとなるため各モジュールシステムを全体最適で設計することが効果最大化のポイントになるのです。
SAPモジュールの全体構成図は下記となります。
ご覧のように、企業のビジネスを行う上でヒト・モノ・金・情報が各モジュール(業務領域)でシームレスにつながることで効率的な業務プロセスを実行することができます。
下表はSAP ERPの中でも代表的なモジュール一覧になります。
略称 | SAPモジュール名称 |
---|---|
FI | 財務会計(FInancial Accounting) |
CO | 管理会計(Controling) |
PS | プロジェクトシステム(Project System) |
SD | 販売管理(Sales and Distribution) |
MM | 購買/在庫管理(Material Management) |
PP | 生産計画/管理(Production Planning and Control) |
QM | 品質管理(Quality Management) |
PM | プラントメンテナンス(Plant Maintenance) |
HR | 人事管理(Human Resources) |
SAPモジュールには様々な種類がありますが、中でも財務会計(FI)はお金に関する業務機能であり、SD/MM/PP/CO/HRなどのすべてのモジュールと密接にかかわる重要な位置づけの機能になることがわかります。
SAP FIと理解が混乱しやすいモジュールにSAP CO(管理会計)がありますが、SAP FIは社外向けの財務会計を目的としているのに対し、SAP COは社内向けの管理会計を目的としている点に違いがあります。
管理会計とは自社向けに社内の意思決定や経営状況を把握するために作成する会計処理方法です。前述した財務会計は社外向けでしたが、自社向けに作成することで社内で見たい切り口で会計情報を整理する違いがあります。
SAP CO(管理会計)の概要
モジュール名 | 管理会計(Controling) |
略称 | CO |
主な役割/機能 | 実績伝票の作成 計画伝票の作成 実績データ・計画データの比較 貢献利益管理の作成 サブモジュールとして下記がある。 ・原価要素会計(CO-OM-CEL) ・原価センタ会計(CO-OM-CCA) ・活動基準原価計算(CO-OM-ABC) ・内部指図(CO-OM-OPA) ・製品原価管理(CO-PC) ・収益性分析(CO-PA) ・利益センタ会計(EC-PCA) |
関連性の強いモジュール | 財務会計(FI)、販売管理(SD)、購買/在庫管理(MM)、生産計画/管理(PP) |
SAP COはSAP FIで集約した各種データを自社向けに処理するプロセスの流れから、自社の経営管理や意思決定のプロセスやKGI・KPIの指標を正しく理解し導入を進めていくことがポイントになります。
SAP FI(財務会計)モジュールが持つサブモジュール機能と役割を紹介します。
サブモジュールとは、SAPモジュールを大上段とした際の更にブレイクダウンされた業務機能群になります。
SAP FI(財務会計)モジュールの場合は、下記のサブモジュールで構成させています。
SAP FI-GLはGeneral Ledger(=総勘定元帳)の略称であり、SAP FIのサブモジュールになります。
総勘定元帳とは、企業が取引したお金のやり取りを勘定科目ごとに分類した会計帳簿であり、企業は事業を運営する上で必ず作成をしなければいけません。
総勘定元帳は、全ての取引を勘定科目の種類別に分類して整理及び計算する帳簿であり、勘定科目ごとに取引の年月日、相手勘定科目及び金額を記載します。
【仕分の役割】
帳簿の記帳は、仕訳から始まります。事業活動によって発生する取引は、必ず資産、負債、資本(元入金)、収益及び費用のいずれかに分類されます。仕訳は、生じた取引をどこの勘定科目に振り分けるかを決める役割を果たします。
国税庁:貸借対照表作成の手引き
SAPの他モジュールである、MM(購買管理)での仕入れ先取引となる買掛金や、SD(販売管理)での得意先取引の売掛金などの金額情報をERP上で連携し管理することができます。
SAP FI-APとは、Accounts Payable(=債務)の略称であり、SAP FIのサブモジュールになります。
債務とは、特定の人に特定の行為や給付を提供しなくてはいけない法律上の“義務”になります。例として、金銭支払い請求、物品の引渡し請求などがあります。
SAP ERPの場合は、SAP MMの購買プロセスにおいて、仕入れ先から調達を行う際に債務が発生するため請求書照合を行いFIモジュール上で出金を行います。
SAP FI-ARとは、Accounts Receivables(=債権)の略称であり、SAP FIのサブモジュールになります。
SAP FI-AP(債務)とは異なり、債権は特定の人に特定の行為や給付を求める権利を意味しています。例として、得意先に自社の商品やサービスを提供しお金を請求する行為になります。
そのためSAP ERP上ではSAP SDの販売管理プロセスにおいて多用されます。
SAP FI-AAとは、Asset Accounting(=固定資産管理)の略称であり、SAP FIのサブモジュールになります。
固定資産とは、土地・建物・機械設備などの有形資産やソフトウェアなどの無形資産など1年を超えて現金化・費用化される資産です。
SAPERP上では資産マスタに登録を行い、資産計上・減価償却などの固定資産に関する会計処理を行う役割を担います。
本記事を読まれている方はSAP FI(財務会計)モジュールコンサルタントを目指す方も多いと思いますので、高年収のハイクラスFIモジュールコンサルになるためのキャリアパスをステップごとに解説します。
SAPのプロフェッショナルキャリアには「SAPコンサルタント」、「SAPエンジニア」、「SAPフリーランス」と大きく3種類ありますは、いずれも下記のステップによりキャリアパスを歩むことができます。
SAPには「SAP認定コンサルタント資格」という約100種類以上にもなる資格があり、ITベンダーやコンサルティングファームは資格保有者を公開しています。
SAP社の公式サイトではSAP資格を保有することの狙いを下記のように記しています。
Benefits of validated skills
- Gain a highly recognized, on-demand accreditation of excellence
- Differentiate yourself in a crowded market
- Execute tasks with confidence and skills
- Attain higher wages and billable rates with a highly valued credential
SAP資格を取得することで、「対外的なSAP知見への評価」「労働市場での差別化」「業務パフォーマンスの向上」「給与報酬の向上」に寄与するため、社内での昇格・転職・案件獲得において有利に働くと言えます。
実際に、SAP公式サイトの「SAP 認定資格取得数」では、最新の取得ライセンスの内訳やどの企業が最も取得しているかをデータで可視化しており、最近はSAP HANAが人気であることがわかります。
資格取得の多い企業では、アビームコンサルティング株式会社、アクセンチュア株式会社、富士通株式会社、日本アイ・ビー・エム株式会社、PwCコンサルティング合同会社が上位となっています。
ご覧のように、SAPコンサルタントになるためには、最低限担当したいモジュールを資格習得しておくと企業からの採用オポチュニティも高くなり市場価値も上がると言えるでしょう。
SAP FIのモジュールコンサルタントになるために資格取得だけでなく「実務」を積むことが非常に重要となります。
SAP資格を取得しているコンサルタントは数多く存在するため、実際には「資格だけでなく実務経験」がプロジェクト参画時に求められるのが一般的です。
デロイトトーマツコンサルティング合同会社が行った企業と個人を対象にDX(デジタル・トランスフォーメーション)時代の人材育成の実態と課題を探った「デジタル人材育成に関する実態調査2023~人的資本経営時代に取り組むべきリスキリングとは~」の調査結果では、DX推進企業の一番の課題は「実務機会の提供」となっており、実務経験を積むことができない人が多くいることがわかります。
DX先行企業においては、「実践機会の提供(53%)」や「人事制度(47%)」といった「育成・研修」後の施策についての課題認識が高くなっています。特に、「実践機会の提供」においては、DX先行企業の多くは実施率が71%と既に着手している一方で、依然、課題を抱えている企業も多いことが明らかになりました。
デロイト:デジタル人材育成に関する実態調査2023
そのため、現在お勤めになっている企業でSAP実務が経験できない場合、コンサル業界への転職を視野に入れることをおすすめします。
コンサルティング業界には、コンサルティングファームと呼ばれるコンサルティングサービスを提供する会社が複数存在し、戦略・BIG4・総合・シンクタンク・人事/組織・FASなど専門分野ごとに多種多様な会社が存在します。中でも、総合系のコンサルティングファームの場合、SAP導入の経験を持つ専門家が多く在籍しています。
下記はSAP人材が多く在籍する「BIG4系コンサルティングファーム」「総合系コンサルティングファーム」「シンクタンク系コンサルティングファーム」の一例です。
SAP FIはSAP ERPの中でも需要が多くコア機能であるため、SAP FI専門のコンサルタントは正直数多くいます。
一方で、「FIも知っていてCOも知っている」「FI・CO・SD・MM・PPも知っている」などと、FI×何かに専門分野を広げることでコンサルタントとしての差別化を図ることができます。
特にFIと親和性のあるCOやMM/SDなどは是非チャレンジしてみましょう。
SAPコンサルティングやエンジニアリングを実務として培った後は、更に高待遇を狙ったハイクラス人材をめざすためにSAPフリーランスコンサルタントへの「コンサル独立」「コンサル起業」がおすすめです。
フリーランスコンサルタントとは、企業組織に属さず独立した個人でコンサルティングサービスを生業とするフリーランスの職種であり、中でもSAPを専業する人をSAPフリーランスと呼びます。
コンサルタントとは、会社の多様な経営課題と向き合い解決のための打ち手の考案や施策を実行する専門家の仕事でありコンサル会社勤めをイメージする人が多いですが、中でもフリーランスコンサルタントは最近注目されている次世代の働き方となります。
内閣府の調査によるとフリーランス国内人口規模は341万人と年々増加にあり、さらには、2023年5月、厚生労働省がフリーランスの働き方を守る目的として「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス新法)」が公布されフリーランスは今やハイクラスキャリアの選択肢の一つとなりました。
一方で、フリーランスへの独立は収入が不安定になる点や業務委託契約などの営業活動の負荷がかかる独特の業界課題があることから、業界を熟知したフリーランスエージェントに独立相談をするのがおすすめです。
フリーランスエージェントには、コンサル人材特化型の「フリーコンサルタントマッチングエージェント」や、SAP人材特化型の「SAPフリーランス専門エージェント」もありますので有効に活用していきましょう。
当メディアを運営している株式会社SowLabもフリーコンサルタント専門のプロ人材検索プラットーフォームを運営していますのでお気軽にご相談ください。
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SAP FIとはFinancial Accountingの略称であり、会計関連の財務会計領域の業務機能群(モジュール)であることや、複数のサブモジュールから構成されていることを紹介しました。
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コンサルフリーforSAP/ERPは即戦力のフリーランスが集まるSAP・ERPコンサル集団です。ERP・基幹システム刷新、IT戦略、要件定義、設計/開発、テスト、データ移行、運用保守などSAP(FI/CO/SD/PP/MM)のモジュールコンサル・ABAP開発エンジニアリングなどに特化しており、外資/内資コンサル・ITベンダー・SE出身者が多数在籍しています。
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相馬秀幸(そうま ひでゆき)
株式会社SowLab 代表取締役社長
デロイトトーマツコンサルティング合同会社のマネージャーを経てフリーコンサルに独立後、コンサル×マーケティング×デジタルメディア開発スキルを活かし株式会社SowLabを創業。フリーランス検索プラットフォーム「コンサルフリー」を運営。これまでに、経営戦略、新規事業開発、M&A、マーケティング/営業戦略、次世代広告メディア戦略、WEB設計/開発、SEO戦略、生成AI推進など多数のコンサルタントプロジェクトを手掛ける。年間200名以上の企業の事業開発/DX/マーケティング責任者やフリーランスと公私ともに対話する。独自で立ち上げたメディアは過去に5つあり、企画・設計/開発・ライティング・SEO対策・広告宣伝営業・メディア監修などメディアにも精通する。