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広告代理店出身のフリーランスマーケター活用術【インタビュー|株式会社SowLab志村陸】

広告代理店出身のフリーランスマーケター活用術【インタビュー:株式会社SowLab 志村陸】
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経済産業省が進めるダイバーシティ経営やリモートワークの推進などの取り組みから、昨今、企業のブランディング・マーケティング戦略立案やマーケティングプロモーションの推進において、大手広告代理店を使わず広告代理店出身のフリーランスを活用するケースが注目を浴びています。

一方で、フリーランス×広告代理店の活用は、エンジニアやWebマーケター、クリエイターと比べるとまだ事例も少ないことから「広告代理店出身のフリーランスをどう使えばよいのか?」「活用するメリットは何か?」と不安になる企業も多いのではないでしょうか。

本記事では、広告代理店出身のフリーランスが多数在籍し様々な企業のクリエイティブ支援を行う株式会社SowLabの執行役員の志村陸(しむら・りく)氏「個の時代の広告代理店出身のマーケター活用術」についてお話を伺いました。

Interviewee

志村 陸(しむら りく)
株式会社SowLab 執行役員

志村陸インタビュー

大手製造メーカー、株式会社博報堂、HR×SaaS系スタートアップを経てSowLab執行役員に就任。これまでに、メーカー・製造業界(総合電機、家電、精密機器、住宅/建材など)を中心に、事業開発、商品企画、ブランディング、プロモーション、営業企画、セールス、採用、組織開発に関するマーケティングコミュニケーション領域のプロジェクトを経験。メーカー事業会社の商品企画の実務経験を持ちながらも、採用ブランディング、TVCM、広告代理店均衡、マスメディア戦略などマーケティングコミュニケーション領域を特に強みとし戦略~伴走まですべてをプロデュースする。

Interviewer

相馬秀幸(株式会社SowLab)

相馬 秀幸(そうま ひでゆき)
株式会社SowLab 代表取締役


コンサルフリーマガジン編集長。大手製造業、デロイトトーマツコンサルティング、フリーランスなどを経て株式会社SowLabを創業。事業開発・組織人事・生成AI・マーケティングなどのコンサルティングに精通しており、本分野における企業責任者と年間100名以上の対話をしている。個人ブロガーとしても活動しこれまでの記事執筆数は1000記事を超える。

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目次

広告代理店出身のフリーランスとは

広告代理店出身のフリーランスの活用が最近話題ですが、まずは、そもそもの広告代理店の転職市場や働き方の変化、フリーランス市場について紹介します。

広告代理店出身者の転職先とキャリアパス

SowLab相馬

広告代理店出身のフリーランスが話題ですが、そもそも広告代理店出身の方のキャリアパスとしてどのような転職先に行くことが多いのでしょうか。

SowLab志村

多くの広告代理店出身者は、その専門知識やネットワークを活かして、マーケティングやブランディングに関連する職種に転職することが多いですね。

同業種である広告代理店業界への転職はもちろん、それ以外にも事業会社の広告宣伝部門や、デジタルマーケティングブランドコンサルティング会社などが転職先としては一般的です。また、スタートアップのマーケティング部門やCMOとして転職する人も少なくありません。

さらに、最近では、自分のビジョンを追求したいと考える方は、自ら起業をしたりフリーランスとして独立する道を選ぶキャリアパスも年々増えてきました。「広告代理店の個人商店」のような働き方をする人も増えてきましたね。

広告代理店からフリーランスへの独立が増えている背景と理由

SowLab相馬

広告代理店出身のフリーランスは今でこそ耳にするようになりましたが、これまではその存在すら認知されていませんでした。なぜ最近になって広告代理店出身のフリーランスが増えてきたと思いますか。独立する方が増えた背景や理由を教えてください。

SowLab志村

広告代理店から個で働くフリーランスへの独立には様々な理由があると思いますが、広告代理店業界だからこその背景には大きく2つあるのではないかと思っています。

1つ目は、広告やテクノロジーの進化に伴い、個の実力で勝負できる環境が整い、個人でチャレンジしたいと思う方が増えたことがあります。
総合広告代理店の場合は電通・博報堂などの大きなブランドの看板を背負い顧客から案件を獲得・信頼されることが多いですが、一定の仕事をしていると「会社のブランドを無しで勝負してみたい」「面白いクリエイティブをもっと追求してみたい」と、大きな会社に属し規模の大きい仕事への楽しさを感じながらも、もどかしさを感じることがあります。
そうした中で、最近ではスマホやタブレッドなどのマルチデバイス、SNSや動画配信などの多種多様なサービスと接触する生活者のライフスタイルへと変化していき、広告の在り方も日々多様な選択肢へと変化しています。さらには、生成AIの発展により知識がなくてもクリエイティブな作品を生み出すことができるようになり、個人として広告に関われる機会が格段と増えました。
これは広告代理店業界に限らず、番組制作のプロデューサーやディレクターなどのプロダクション界隈でも同じことが言えると考えていて、最近ではテレビ局を辞めて動画配信やSNSで自由で大胆なクリエイティブをつくる人が増えてきたのもそれが理由ではないでしょうか。

2つ目は、フリーランスであればクライアントの意思決定や課題解決に踏み込みマーケティング施策を根本から大胆に変えることができる点があると考えています。
広告代理店は社外の立場からよくコンペの形でクライアントに提案することが多くあります。その際に、最終的な良し悪しの判断はクライアント側で行い、代理店は結果のみをフィードバックしてもらいます。そのため、クライアント側でどのような判断軸でどのような意思決定で判断をしたか見えづらい点も多く、意思決定の裏側にある課題が見えづらい難しさがあります。
一方で、フリーランスの場合は、業務委託人材という形でクライアントのブランド戦略やマーケティングプロモーションの初期段階での企画・構想に深く入り込むことができ、第三者の目線ではなく顧客の立場に立ち主観的な目線で意思決定に関与できる場合が多くあります。そのため、クライアントが抱える本質的な課題と向き合い、本当に面白いこと・本当にクライアントのためになる施策の追及を、プロセス全体の中で主観的に向き合えるんです。

広告代理店出身者のフリーランスの市場の特徴

SowLab相馬

広告代理店出身の方がなぜフリーランスに独立するようになったかよくわかりました。
一方で、“フリーランス”という言葉はエンジニアやWebクリエイターの印象も強く、代理店出身のフリーランスは聞き慣れないのも実態です。志村さんが捉えている広告代理店出身フリーランスの市場はどのように見えていますか?

SowLab志村

そうですね、広告代理店出身のフリーランスの市場は、近年拡大していますが、事実、エンジニアなどに比べるとまだまだ大きくはありません。

特に、電博を代名詞とするような総合代理店出身の母数が非常に少ないことからも、代理店出身のフリーランスは今後もマーケット全体で数%にも満たない希少な人材となることが予想されます。
そうした意味では、総合代理店出身のフリーランス市場は非常にニッチな市場であるともいえますね。

一方で、デジタル広告を中心とした広告運用のプロと呼ばれる人は増えていますね。デジタル広告運用のインハウス化の流れは企業の大小に関わらず進んでいる傾向にあるので、企業のマーケティングのインハウス化を加速させる需要は今後も更に伸長すると思います。

広告代理店出身者のフリーランスの仕事内容

SowLab相馬

広告代理店出身者のフリーランスの実態をお話頂きましたが、そもそも広告代理店出身のフリーランスはどのような仕事をするのでしょうか

SowLab志村

大きく分けると「戦略支援」「実行支援」があります。

ブランディング・マーケティング戦略立案

SowLab志村

広告代理店出身のフリーランスは、代理店で習得したスキルやノウハウ、経験を活かし、ブランドアイデンティティの確立や再定義をサポートし、市場で独自のポジショニングを確立するための戦略を立案します。

具体例としては、企業が新規市場に参入する新製品のためのブランドストーリーやビジュアルアイデンティティの開発を手がけることが挙げられます。その際に、生活者の行動や市場のトレンドを分析し、そのデータに基づいたマーケティング戦略を提案することもよくあります。

また、採用ブランディングの観点でも企業をサポートするケースもあり、クライアントがどのような組織を作りどのような人員を獲得していきたいか、それを実現するためにどのようなメッセージを伝達すべきかを定義しながら検討を進めます。

最近では「広告代理店」と「コンサルティング」という掛け算のような仕事も多く、代理店出身者は“マーケティング”の観点から経営課題を解決するプロと言えると思います。

SowLab相馬

戦略支援も手掛けたりするのですね。
最近では、電通や博報堂もコンサルティング事業に本格参入したり、逆にコンサル会社であるアクセンチュアもPR会社である株式会社ベクトルの子会社のシグナルを買収をしたことが話題でした。
そうした意味では、今後、広告代理店×コンサルによる戦略的課題解決のアプローチは重要なトピックになりそうですね。

マーケティングプロモーションの企画・実行支援

SowLab志村

マーケティングプロモーションとは、商品やサービスをクライアントが宣伝し、顧客の興味関心を惹きつけ、購買やブランドの忠誠心を促すための活動を意味します。

広告代理店出身のフリーランスはそうした企業のマーケティングプロモーションの検討において、クライアントの製品やサービスのプロモーション活動の企画から実施までを支援します。

例えば、特定の製品の売上を伸ばすためにシーズナリティ(季節の変動に伴ってマーケティング手法を変えること)を利用したキャンペーンを企画・実施することがあります。このプロセスには、ターゲットオーディエンスの特定、プロモーションのメッセージづくり、適切なメディア選定、キャンペーンの効果測定などが含まれます。

通常の広告代理店と異なるフリーランスのアプローチとしては、クライアントの意思決定に深く関与し一緒に検討進める「伴走スタイル」がより強い点にあります。

SowLab相馬

クライアントに深く入り込める伴走型支援は広告代理店出身のフリーランスならではの強みなんですね。

企業が大手広告代理店を使わずフリーランスに依頼するメリット

SowLab相馬

さて、次は「企業目線でのフリーランス活用」について深堀させてください。
これまで企業の広報宣伝部やマーケティング部門は広告代理店に委託しマーケティング施策の検討や実行を行うことが一般的でしたが、それらの事業者を使わず個で活動する広告代理店出身のフリーランスを活用するメリットは何なのでしょうか。

1.大手広告代理店よりも単価が安い

SowLab志村

企業が広告代理店フリーランサーを活用する最大のメリットは「大手広告代理店を利用するよりも圧倒的にコストが安い」点にあります。

大手広告代理店はブランド力や信頼性がある一方で、代理店マージンは高額です。例えばTVCMを製作すれば、進行管理費という項目でマージンが発生しますし、SNS広告に広告出稿すれば運用マージンが発生します。
このマージンはパーセンテージで計算されるため、予算が大きければ大きいほど代理店マージンも大きくなります。

一方で、フリーランスの場合は月額のフィーで契約を結ぶため、例えばフリーランスが代理店を介さずに直接CMプロダクションをディレクションしたり、SNS広告の運用を行った場合にフリーランスフィー<代理店マージンとなる場合は非常に多いです。

更に例を挙げると、新しいプロダクトをローンチするキャンペーンを立ち上げたいスタートアップが、大手広告代理店に依頼すると予算の数十%は代理店マージンとして消化することになりますが、フリーランスであれば稼働量に応じた月額フィーで同等の品質のキャンペーンをデリバリーできる可能性があります。これにより、予算が限られたスタートアップや中小企業でも高品質な広告サービスを利用できるようになります。

SowLab相馬

具体的には広告代理店とフリーランスに依頼することを比較した際、どれくらいの価格の差分があるのでしょうか。

SowLab志村

そうですね、案件規模により大小は異なりますが、大手広告代理店に依頼するよりも2/3~1/2くらいは人件費としては抑えらます。

例えば、新しいプロダクトの市場導入キャンペーンを立ち上げたい企業が、大手広告代理店に依頼すると数百万円、場合によっては数千万円かかるかもしれませんが、フリーランスならば数十万円規模で同等の品質のキャンペーンを提供できる可能性があります。

広告代理店費用は業界的にも高いことからクライアントの多くは大手企業などの資金が潤沢なケースが多かったのですが、価格帯がリーズナブルになるフリーランスを使うことで、これまで代理店を使うことができなかった、中小企業やスタートアップなど予算が限られた企業でも高品質な広告サービスを利用できるようになります。

2.特定の広告代理店に依存しないクリエイティブが生み出せる

SowLab相馬

コストが安くなる点は企業にとってはROIを見出すためにも非常に重要ですね。一方で、「サービスの質」の観点でどのようなメリットがありますか。

SowLab志村

サービスの質の面でいうと、フリーランスは多様な業界やプロジェクトに関わる機会が多く、それによって異なる視点やアイデアを持ち合わせることで、フリーランスならではのクリエイティブへの昇華ができる点があると思っています。

例えば、あるフリーランスが過去にファッション、テクノロジー、教育の各業界でキャンペーンを手掛けた経験がある場合、その混在した経験を生かして独特なクリエイティブな提案が可能です。もちろん、このような経験を持つ方は代理店にも在籍していますが、フリーランスの場合は、代理店の枠組みの中での特定のスタイルやアプローチに固執することなく、新鮮で革新的なアイデアを客観的な視点で提供できる点が質へのインパクトであると思っています。

3.マーケティングプロモーションの進行管理業務をアウトソースできる

SowLab相馬

フリーランスの独立の醍醐味として「クライアントの意思決定に深く入り込める」という話がありましたが、企業サイドから見るその点でのメリットは何かありますか。

SowLab志村

マーケティングプロモーションを推進する上で様々なステークホルダーとの均衡や推進管理が必要となるのですが、広告代理店業界の実務を有する専門家が窓口に立ち管理することでスムーズかつ効果的なマーケティング施策を打てるメリットがあります。

例えば、総合広告代理店がマーケティングプロモーションを推進する場合、代理店を軸にデジタル広告運用をする会社、CM制作をするプロダクション、イベントを運営するイベント会社、PRを推進するPR会社などマーケティング施策により多種多様なステークホルダーが存在します。
更には、広告の発信媒体となるテレビ局やXやTikTokなどのSNSなども複雑に絡みあい、それぞれのステークホルダーの利害関係を正しく理解し統合的に束ねることが求められます。

マーケティングプロモーションを検討する企業サイドとしては広報宣伝部やマーケティング部門が主の部門として立つことが多いですが、実際に総合代理店などの実務を経験した方も少なく「上手なステークホルダーとの付き合い方法」「見極め方」など扱いが難しいケースが結構あります。

そうした中で、元代理店出身者のフリーランスが窓口に立ちクライアントの意思決定をメンバーとして関与いただく事で、マーケティングプロモーションを効率的かつ効果的に推進することができるのです。

広告代理店出身者のフリーランスに依頼する場合の注意点

SowLab相馬

フリーランスの活用のメリットがよくわかりました。
一方で、大きな広告代理店を使う安心感があるのも事実で、フリーランスを活用する上での課題やデメリット、注意点などについて教えてください。

プロジェクトのスコープと期待の明確化

SowLab志村

フリーランスに依頼する場合、プロジェクトの要件や期待値が不明確になってしまいトラブルが発生することが時々あります。

そのため、企業はプロジェかクト開始前に詳細なスコープ、期限、予算を明確にしておきながら、依頼主である企業と業務遂行者であるフリーランスの双方の納得をした形でプロジェクトをスムーズに進行させる必要があります。

業務委託と法的側面の確認

SowLab志村

フリーランスに仕事を依頼する際は、契約書の作成が欠かせません。これには、権利、義務、著作権の取り扱い、機密保持、キャンセルポリシーなど、双方の保護を目的とした具体的な条項を含まなければいけません。

一方で、企業が直接個人で働くフリーランスと契約することは契約手続きの手間やコミュニケーションの負荷が発生します。

SowLab相馬

なるほど、これまで個人の代理店フリーランスを使うことはケースとしては少ないため、特有の注意点があるのですね。

これらの問題を解消するためにどのような解決策があると思いますか。

SowLab志村

プロジェクトのスコープと期待の明確化」と「業務委託と法的側面の確認」を注意しながら無事に解決するためには、広告代理店出身のフリーランスの活用に長けたSowLabのようなエージェントを使うことが有効だと思っています。

マーケティングプロモーション施策の検討は市場の変化も早く臨機応変に動かなければいけない場面も多くあるため、依頼前の段階から細かく業務をスコーピングする難しさがあります。そうした際に、業界を熟知し様々な対応ケースを持っている仲介が間に入ることでクライアントやフリーランスは安心して本業に集中できます。

個の時代のマーケティング活用は今後も更に飛躍する

編集後記
SowLab相馬

いろいろとお話をいただきありがとうございます。
最後に、広告代理店出身のフリーランスが今後日本経済をどのように変えていくいくかメッセージを頂ければと思います。

SowLab志村

広告代理店出身のフリーランスの活躍や発展により、今後、個の時代のマーケティング活用は当たり前になり、今までにない自由で豊かなクリエイティブが世の中に生み出したいと思っています。

私は広告代理店出身であり、フリーランス業界や人材業界とも向き合っている中で、人の根本にある自由な発想こそが、人々に感動を与える豊かなクリエイティブを創造できると思っています。

だからこそ、従来の働き方や組織に捉われない広告代理店業の新しいカタチにより、広告業界やマーケティング業界へ旋風を起こし日本経済をさらに発展することを願っています!

編集者後記

広告代理店出身のフリーランスマーケター活用は、まだ発展途上であり、多様性が求められる昨今において非常にメリットも多く革新的な人材獲得のアプローチでした。

一方で、企業の広報担当やマーケティング担当者で、代理店出身のフリーランスを活用することに不安を抱える方も多いと思います。

そうした際は、広告代理店出身のフリーランスが多数在籍し様々な企業のクリエイティブ支援を行う株式会社SowLab(ソウラボ)に是非相談ください。

SowLabは、業界初のフリーランス検索プラットフォーム「コンサルフリー」を運営するフリーランスギルド型集団として大手広告代理店出身者をはじめ、戦略コンサル・総合コンサル・ITコンサルなどに強みを持つ業務委託人材が多数在籍しており、企業の経営課題の解決をスピーディーかつ安価に行います。

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