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ERPとはEnterprise Resource Planningの略称であり、企業の経営資源を一元的に管理する経営手法です。
ERPを実現するためシステムはERPソフトウェアやERPシステムと呼ばれ、個別最適でシステムを組む基幹システムと違い、財務会計・人事給与・販在庫購買管理・生産管理など異なる業務領域を全体最適の視点で統合的に情報を管理することを目的としています。
最近では、経済産業省がDX推進に積極的に取り組んでいることから、企業の経営幹部やIT担当者はERPを活用したビジネス改革に更に注目をするようになっています。
一方で、日本は海外と比べDXとして十分な成果を得られている事例も少なく、ERPにおいても有効な活用法や導入が成功している企業は多くはありません。
本記事では、そのようなお悩みを持つERP導入の企業担当者や業務担当者に向けて「ERPの基礎知識」を初心者の方にもわかりやすく簡単に解説していきます。
▼ERPの代表格は「SAP」
ERPパッケージの代表格はERP世界シェアNo1の圧倒的な実績を持つSAP(エスエーピー)です。ドイツを本拠地に置くSAP社は世界発のERPを提供したパイオニアであり、現在は高速処理が可能なインメモリーベースの「SAP S/4 HANA cloud」を提供しています。ERPの基礎知識と同時にSAPとは?の基礎知識も身につけておきましょう。
SAP・ERPに強い
フリーランスコンサル集団
コンサルフリーforSAP/ERPは即戦力のフリーランスが集まるSAP・ERPコンサル集団です。ERP・基幹システム刷新、IT戦略、要件定義、設計/開発、テスト、データ移行、運用保守などSAP(FI/CO/SD/PP/MM)のモジュールコンサル・ABAP開発エンジニアリングなどに特化しており、外資/内資コンサル・ITベンダー・SE出身者が多数在籍しています。
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執筆者/運営会社
株式会社SowLab
コンサルフリーマガジン事務局
コンサルフリーマガジンは株式会社SowLab(ソウラボ)が運営する日本最大級のコンサル情報メディア。新規事業開発・組織人事・マーケティング・生成AI・SAP/ERPを専門としたコンサルティング事業、フリーランスエージェント事業(コンサルフリー)、デジタルメディア事業を展開。
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ERPとはEnterprise Resources Planning(エンタープライズリソースプランニング)の略称であり、企業経営に必要となる「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の経営資源を一元的に管理し膨大なデータを統合的かつ迅速に処理する手法です。
それらの実現を支援するシステムやツールのことを「ERPパッケージ」と呼称され、全社統合基幹業務システムなどと呼ばれることもあります。
世界で初めてのERPは1973年SAP社が開発した「SAP R/1」とされています。
それまで1960年~1970年代は大型コンピューターであるメインフレームが主流でしたが、個々の組織や部門で個別最適のシステムが乱立していることが多く情報管理の効率が悪い課題がありました。
メインフレームとは、基幹業務用の大型コンピューターのことでありERPが流行する前の多くの企業が導入していましたが、今のようなテクノロジーは発達しておらず各部門の専属オペレーターが処理をしていました。
その後、ERPが流行し、全体最適での基幹システムとして一元化することで業務の標準化・効率化・ビジネスの高度化を実現できることから注目が集まりました。
なお、ERPの起源は資材所要計画を意味するMRP(Material Resource Planning)であると言われています。
矢野経済研究所の「ERPパッケージライセンス市場規模推移・予測」の調査結果では、国内のERP市場規模はエンドユーザ渡し価格ベースで2021年に1,278億円、2024年には1,476億円に増加すると予測しています。
従来、各部門のマニュアル業務が多かった文化から、昨今では「データドリブン」「DX(デジタルトランスフォーメーション)」などと基幹システムへのニーズが高まっていることがわかります。
世界のERPベンダー別シェアを調査した「2021 ERP Applications Market Shares Split By Top 10 ERP Vendors and Others」では、SAPが業界シェアトップとなっており、グローバルで約40,000社以上が利用しているとされています。
SAP ERPは米国の売上高ランキング1000社を意味するFortune 1000に代表する「Walmart」「Exxon Mobil」「Apple」「McKesson」「Chevron」「General Motors」などもSAP S/4 HANAを利用しているとされており、圧倒的な信頼と実績を得ていることがわかります。
ERPと基幹システムの違いは、それぞれのシステムの目的と情報管理が異なります。
ERPは業務領域を統合管理した「全体最適」を目的としており、対して基幹システムは各業務領域別で「個別最適」に管理することを目的としたシステムとなっています。
基幹システムとは「財務・会計」「人事・給与」「販売・在庫・購買」「生産計画」など各業務領域や組織・部門単位で個別最適での情報管理・効率化を目的としたシステムです。
基幹システムのメリットとしては、各部門別の個別具体の課題や業務に適したシステム・オペレーションにすることができますが、一方で他の業務組織をまたぐ場合、情報伝達がしずらくなるデメリットがあります。
基幹システムの
メリット・デメリット
メリット
デメリット
対して、ERPシステムとは全社の「財務・会計」「人事・給与」「販売・在庫・購買」「生産計画」など業務の垣根なく全体最適での情報を一元化し管理することで業務の効率化を目的としたシステムです。
従来の個別最適での基幹システムの場合、部門横断による情報連携ができず会社全体での業務負荷や多次元の分析ができない課題がありましたが、それらをデータドリブンで解決することで高度な経営を推進することができるのです。
ERPシステムの
メリット・デメリット
メリット
デメリット
ERPシステムのパッケージの種類には「SaaS型ERP」「IaaS・PaaS型ERP」「オンプレミス型ERP」の大きく3種類があります。
SaaS・IaaS・PaaSとは各システムレイヤーごとに自社または他社(ベンダー)のどちらが所有権を持っているかサービスの提供範囲を分類した呼称です。
SaaS | Software as a Service |
PaaS | Platform as a Service |
IaaS | Infrastructure as a Service |
調査会社ITRの「ERP市場2023」のレポートによると、ERPのSaaS・パッケージ(IaaS)・パッケージ(オンプレミス)の中でも、クラウドシフトを意味するSaaSはCAGR(2021年~2026年)20.5%増と急成長をしていることがわかります。
最近ではERPはクラウド型が主流になってきましたが、それぞれメリット・デメリットが異なるため特徴を見てみましょう。
SaaS型ERP(クラウド型ERP)は、SaaS(Software as a Service)のソフトウェアを使った分だけ課金される従量課金によるERPパッケージです。
例として、SAP社が提供する「SAP S/4 HANA cloud」などがあり、クラウドベースのアプリケーションでモバイルなどでも使いやすい仕様となっています。
従来のオンプレミス型ERPと比べると、自社内にサーバやソフトウェアなどを購入し整備する必要がなく、インターネットに接続できさえすれば簡単に導入ができる点が最大の特徴です。
更に、一般的には「利用ユーザーあたり」に課金されるため従業員の増減など今後の会社の変化があった場合も柔軟にライセンス構成を変えることができるためコストコントロールがしやすい点もメリットです。
クラウド型ERPは海外では主流となっており、日本では中小企業などで多く採用される方式です。大企業の場合はまだオンプレミスまたはハイブリッド形式が多いですが、徐々に完全クラウドに移行している傾向にあります。
SaaS型ERPの
メリット・デメリット
メリット
デメリット
IaaS/PaaS型ERPはクラウド型ERPの中でも部分的に他社環境のサービスを利用し、ミドルウェアやOS、サーバなどのインフラ周辺の環境は自社で用意するプライベートクラウドとパブリッククラウドの要素を持つIaaS/PaaS型の組み合わせです。
もともとオンプレミス型ERPから移行する大企業などに多くみられるケースであり、完全クラウド型と比べると自社で管理したいデータをセキュアな環境で設計することができます。
IaaS/PaaS型ERPの
メリット・デメリット
メリット
デメリット
オンプレミス型ERPとは、すべての環境を自社で準備するERPです。
特に大企業やグローバル企業などで自社のデータを社外に外だしできないセキュリティの理由やレガシーシステムとの関係性からオンプレミス型を採用するケースがあります。
オンプレミス型ERPの場合は、フルスクラッチ(ERPパッケージを導入するのではなく自社で独自開発する)の形態も多く、自社の業務を鑑みた独自のERPシステムを自由自在に構築することができます。
一方で、システムの運用保守コストが増大化する傾向があり社内にERPシステム構築部隊を常時抱えなければいけないデメリットがあるため、昨今ではクラウドシフトが主流となっています。
オンプレミス型ERPの
メリット・デメリット
メリット
デメリット
ERPパッケージが有する機能としては「会計管理(財務管理・管理会計)」「販売管理・在庫購買管理」「生産計画管理」「人事給与管理」があります。
ERPの財務管理・管理会計機能では、会計領域に関する情報を一元化・見える化することで業務の効率を実現します。
会計領域では「財務会計」「管理会計」で業務プロセスやデータの持ち方が大きく異なります。
財務会計とは企業の投資家や債権者など外部向けに作成する会計処理方法であり、外部からの出資や融資を受けるために、社外向けの財務諸表を公開することでステークホルダーからの評価を得ることを目的にしています。
一方で、管理会計とは自社向けに社内の意思決定や経営状況を把握するために作成する会計処理方法です。前述した財務会計は社外向けでしたが、自社向けに作成することで社内で見たい切り口で会計情報を整理する違いがあります。
SAP ERPの機能例は下記となります。
モジュール名 | 財務会計(FInancial Accounting) |
略称 | FI |
主な役割/機能 | 社外向け財務諸表(損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー)の作成 サブモジュールとして下記がある。 ・総勘定元帳(FI-GL) ・債権管理(FI-AR) ・債務管理(FI-AR) ・固定資産会計(FI-AA) |
関連性の強いモジュール | 管理会計(CO)、販売管理(SD)、購買/在庫管理(MM)、生産計画/管理(PP) |
モジュール名 | 管理会計(Controling) |
略称 | CO |
主な役割/機能 | 実績伝票の作成 計画伝票の作成 実績データ・計画データの比較 貢献利益管理の作成 サブモジュールとして下記がある。 ・原価要素会計(CO-OM-CEL) ・原価センタ会計(CO-OM-CCA) ・活動基準原価計算(CO-OM-ABC) ・内部指図(CO-OM-OPA) ・製品原価管理(CO-PC) ・収益性分析(CO-PA) ・利益センタ会計(EC-PCA) |
関連性の強いモジュール | 財務会計(FI)、販売管理(SD)、購買/在庫管理(MM)、生産計画/管理(PP) |
ご覧のように、SAPでは財務会計(FI)と管理会計(CO)でモジュール(業務単位の機能)が分かれており、総じてFICOなどと会計をひとくくりにしてプラットフォームを提供しています。
ERPの販売管理・在庫/購買管理機能では、ロジ関連の販売管理から購買管理など販売~購買にかかる一連のプロセスを管理する役割を持ちます。
販売管理では、システム内で定義された販売伝票(得意先引合・見積、受注、基本契約・分納契約、販売契約、無償出荷、クレームなど)に基づき多用な取引を実行することができます。
在庫購買管理とは、発注依頼・購買発注・入庫・請求書照合などの機能を有し、購買にかかる一連のプロセスを管理する役割を持ちます。
SAP ERPのモジュールの機能例は下記となります。
モジュール名 | 販売管理(Sales and Distribution) |
略称 | SD |
主な役割/機能 | 販売伝票から出荷伝票・請求伝票を処理する機能 販売伝票の処理 得意先引合/得意先見積 受注・部分受注(SD-SLS-PL) 即主な受注伝票 分納契約(登録・変更・紹介・完了) 得意先基本契約 クレーム バックオーダー処理、など |
関連性の強いモジュール | 財務会計(FI)、管理会計(CO)、販売管理(SD)、購買/在庫管理(MM)、生産計画/管理(PP) |
モジュール名 | 購買管理・在庫管理(Material Management) |
略称 | MM |
主な役割/機能 | 明細に対する勘定設定の指定 品目マスタに登録されている品目の発注 品目マスタに登録されていない品目の葉中 製造者製品コードに対する品目の発注、など |
関連性の強いモジュール | 財務会計(FI)、販売管理(SD)、生産計画/管理(PP) |
ERPの生産計画管理機能では、生産計画・製造指図・製造実行・生産性分析まで製造生産における一連のプロセスを効率化することができます。
下記はSAP ERPの機能例となります。
モジュール名 | 生産計画・管理(Production Planning and Control) |
略称 | PP |
主な役割/機能 | 生産計画 製造指図 製造実績 |
関連性の強いモジュール | 販売管理(SD)、在庫・購買管理(MM) |
ERPの人事・給与管理機能は、採用管理・福利管理・人件費予算管理・勤怠管理・インセンティブ管理など人事や労務回りの業務を効率化する役割を果たします。
モジュール名 | 人事管理(Human Resource) SAP Succes Factors |
略称 | HR |
主な役割/機能 | 人事管理 福利厚生管理 勤怠管理 給与計算 タレントマネジメント ヒューマンエクスペリエンス管理 |
関連性の強いモジュール | 財務会計(FI)、管理会計(CO) |
人事関連のERPとしては、HCM・HRIS・HRMSなどと呼ばれるシステムが存在します。
ERPを実際に導入した企業の活用事例を参考にメリットを紹介します。
ERPは統合基幹システムであり、標準化されたシステムに業務を合わせることができる点がメリットです。
「Fit-to-Standard」とはITやシステム導入において、追加開発・アドオン開発を最小限に抑え業務プロセスをシステムに合わせていくアプローチです。
システム導入のよくある失敗事例として、現行業務に依存してしまいパッケージシステムの標準機能から逸脱し追加開発しすぎてしまい、本来のERP製品のシステム連携ができないことや、パッケージのバージョンアップデートに対応できなくなることがあります。
これらの課題を解決するためにSAPなどのグローバルスタンダードであるERPのシステムの標準に、財務管理・管理会計・販売管理・在庫/購買管理・生産計画管理・品質管理など企業経営に必要な業務プロセスのBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング/Business Process Re-engineering)を推進することができます。
ERPの活用事例と効果
これまで業務部門が個別でシステムを選定・管理していたことから、業務プロセスやITアーキテクチャーは属人的な構成となっていました。そのため設計責任者がいなくなるとプロセスが回らず社内の高齢化も進んでいた課題がありましたが、ERP導入後はなるべく標準機能に寄せていくことで抜本的なBPRができました。
業務プロセスを改革するにあたり難しかったのがベストプラクティスの指標がなかったことです。そのため、議論を進めていくにあたり、「あれもやりたいこれもやりたい」などと追加要求が増えてしまい蓋を開けると業務負荷が多いプロセスになってしまっていました。しかしERPのパッケージに体を合わせていく指標ができたことで、変更管理の納得感もあり業務担当者の要求も最低限かつ本当に必要なものだけに絞ることができました。
ERPを導入することで、膨大なデータを一元的に管理することで関連部門の情報連携がスムーズになり業務負荷の軽減や人件費そのものを削減することができます。
従来、メインフレームの時代ではここに乱立したシステムが個別最適で管理されていましたが、ERPを導入することで全体最適(全社最適)での運用ができるため、会社として統一されたデータフォーマットに抜け漏れなく情報を綺麗に整理することが可能になります。
さらには、ERPの多くは多言語でサポートされており、国際会計基準にも対応しているため、グローバルに展開する企業でも国境をまたぎ全社的にDX推進を進めることができます。
ERPの活用事例と効果
これまで業務部門が個別でシステムを選定・管理していたことから、業務を横断した情報連携はできませんでした。ERP導入後は、業務横断でシステムを評価・選定し、ITのガバナンスがかかった状態で整備されたため、人事・会計・販売・購買・在庫・生産計画などのバリューチェーン上の情報が多次元的に見れるようになりました。
グローバルに展開している企業ですが、いままで国を跨いだ情報連携はメールベースで担当者に必要情報があるか確認し海外→日本のレポートをしてもらっていました。その際に、タイムラグが発生しHQ側で海外の状況を取りまとめたレポート作成に時間を要していました。ERP導入後はボーダレスで情報が管理できるためこうしたコミュニケーションのタイムラグがなくリアルタイムで経営状況を把握できるようになりました。
ERPシステムの導入の流れをIT戦略策定からシステム導入・リリースまでの一連のプロセスごとにご紹介します。
ERP導入をするうえで最初に行うのがIT戦略策定です。IT導入の場合、「プランニングフェーズ(Planning Phase)」とも呼ばれます。
昨今では、DX戦略(デジタルトランスフォーメーション)と呼ばれる、テクノロジーを駆使して業務プロセスの改善だけでなく、ビジネスモデルそのものを変革する考え方に基づき、自社の組織・カルチャー・風土を抜本的に見直すことが求められています。
特にERPは会社の横ぐし機能を持つ経営管理・人事組織・IT・法務などの組織と、バリューチェーン上の機能を持つ営業部門・販売管理・購買在庫管理・SCM・物流の組織全体に影響を与えるため、システム導入前に「何のためにERPを導入するか?(刷新するか)」の目的とゴールを定めることが大切です。
経済産業省は日本企業のDX推進(デジタルトランスフォーメーション)を加速させるために、DX銘柄(上場企業)、DX Selection(中堅・中小企業など)、DX認定(すべての事業者)などの施策を掲げており、それらの基準となるデジタルガバナンスコードにおいて下記の認定基準を発表しています。
柱となる考え方
企業は、ビジネスと IT システムを一体的に捉え、デジタル技術による社会及び競争環境の変化が自社にもたらす影響(リスク・機会)を踏まえた、経営ビジョンの策定及び経営ビジョンの実現に向けたビジネスモデルの設計を行い、価値創造ストーリーとして、ステークホルダーに示していくべきである。
認定基準
デジタル技術による社会及び競争環境の変化の影響を踏まえた経営ビジョン及びビジネスモデルの方向性を公表していること。
経済産業省:デジタルガバナンス・コード2.0より
自社の社員または外部のステークホルダーなどが納得する方針を打ち出し、成功事例としてモチベーション高くIT改革を進めていくことはERPシステム導入を成功させる最も大切な検討事項であるということがわかります。
自社のIT戦略や指針を定めた後は、「ERPのどのベンダーの何の製品を導入するか?」を比較評価する必要があります。
ERPはSAP、Oracle EBSやMicrosoftなどがあり、各ベンダーの中でも「大企業向けERP」「中小企業向けERP」、「業界特化のERP」など製品群も異なるため、ベンダー×製品種類ごとに評価をしなければいけません。
下記は、システムを選定する上での議論を行うためのシステム選定・評価シートの一例になります。
信用性 | 提供企業のブランド |
提供企業の財務体質 | |
提供ソリューションの実績 | |
提供ソリューションの業界事例 | |
製品評価 | 機能充足 |
業務適合性 | |
バージョン管理 | |
他システム連携 | |
機能拡張性 | |
保守性 | 運用サポート体制 |
運用サポートの質 | |
運用サポートのリードタイム | |
運用サポート人数 | |
費用 | 導入費用 |
ライセンス単価 | |
ライセンス必要数 | |
運用保守費用 | |
その他費用 |
上表はシステム評価シートを簡略化してものであり、実際には数百個の選定項目を棚卸し、それぞれの項目に対し評点と重みづけを設定することで複数のソリューションを評価していきます。
「大企業向けERP」、「中小企業向けERP」、「業界特化のERP」などで自社の位置づけを鑑みて、おおよその代表的なソリューションは決まってくるため多くても10社程度から3社ほどにスクリーニングし深く狭く評価をしていくことが推進を効果的にするポイントになります。
導入するシステム・ツールが決まったら要件定義を行います。「デザインフェーズ(Design Phase)」などと呼ばれることがあります。
要件定義とは、現状の業務やシステムに対し、新システム導入により変化させたい要件を定義することでAsIsとToBeの変化点を明確化した文書を作成する作業です。
ビジネスサイドの「業務要件定義」と、システム・データサイドの「システム要件定義」が大きく存在し、現状の課題をヒアリングやアンケートで調査し整理することで「新システムで何を課題解決したいか?」を明確にします。
ERPなどの大規模システムの場合、実際に導入をしてから「以前よりも業務負荷があがった」「もともと想定していた課題が解消されていない」などの後悔をするケースも多く、それらの根本には要件定義が徹底できなかったことが挙げられます。
また、ERPの場合、要件定義一覧書をもとにFit&Gap(フィット&ギャップ)と呼ばれる手法を用い、ERPの「標準のシステム機能で対応するもの」「アドオン開発で対応するもの」をシステム要件定義として振り分けをします。
例えば、SAPの標準機能では対応できずアドオン開発のオブジェクトを「WRICEF(ライセフ)」と言います。WRICEFとはReports、Interfaces、Conversions、Extensions、Formsの5つに分類したものであり、システムの特性ごとに対応事項を検討します。
▼RICEFとは
WRICEFを作成することで開発工数を見積り各対応体制のチームを構築し効率的かつ効果的なプロジェクト推進をすることができます。
つまり、要件定義とは以降で行うシステム設計・開発・テスト・UAT・リリース・運用保守において、IT導入の指針となる重要な定義書であると理解しておくことが大切です。
設計・開発フェーズでは「基本設計」「詳細設計」「プログラム開発」を行っていきます。開発フェーズをスコープとする場合、ビルドフェーズ(Build Phase)とも呼ばれます。
まず基本設計(カスタマイズ)とは、SAPの標準のパラメーター設定をする作業であり、要件定義で定めた要求事項をシステムに反映しながら理想とGAPがないかを確かめながら検証します。場合によっては、標準機能では充足できないと判断しアドオン開発対象になることもあります。
次に基本設計(アドオン開発)では、標準機能では対応できないWRICEFの対象をSAPの開発オブジェクトであるABAPにより開発します。
その後、詳細設計・開発と通常のシステム開発のアプローチと同様の流れになっていきます。
設計・開発完了後、テストフェーズ(Test Phase)では、単体テスト・結合テスト・総合テスト・受入テストを行いリリース前の最終チェックを行います。
▼各テスト工程
上記のように段階的にテスト範囲を広げながら検証をしていきます。
データ移行フェーズは「Migration Phase」とも呼ばれ、ERPをリリースする前に最新の全情報を古いシステムやデータ基盤から新しいシステムに移行します。
データ移行は、鮮度の高い情報を網羅的に移行することが絶対条件であるため、事前に移行のトライアルをしたり移行用の中間データフォームを作成します。
データ移行の注意点としては、古いシステムと新しいシステムで管理するデータフォーマットが異なる場合が多いため、「名寄せ(同一の意味だが名称が違い項目を統一すること)」や「データマッピング(現行システムと移行先システムのデータを紐づける作業)」、「データクレンジング(データを最新かつ正確なものに整理すること)」をすることが大切になります。
データ移行を完了するとシステムリリースをし、その後運用・保守フェーズになります。
運用・保守はハイパーケア(Hyper Care)とも呼ばれ、日々変わるデータやオペレーションが問題なく円滑に進められるようITサポート部門やサービスデスクがFAQ対応・インシデント管理・データ管理を行います。
システム導入のゴールは「システムを導入すること」ではなく「システムを導入し課題を解決し経営を強化すること」です。さらには、日々経営状況や組織体制、データ項目の規定などは変更が行われるため、最適なサポート体制で迅速かつ効果的なハイパーケアをすることが求められます。
運用・保守の大前提として、「必ずトラブルや変更はある」と認識し、当初定義した要件やシステム設計をどのような基準で変更するかの変更管理基準の設定や、社内の問い合わせプロセス・問い合わせ窓口の整備をすることが大切です。
ERPパッケージは海外・国内で多数存在するためここでは、シェア率も高い「SAP」「Oracle」「Microsoft Dynamics」の3社をご紹介します。
運営会社 | SAP SE |
本国 | ドイツ |
日本支社 | SAP ジャパン株式会社 |
所在地 | 東京都千代田区大手町 1 丁目 2 番 1 号 三井物産ビル 11F・12F(受付:2F) |
HP | https://www.sap.com/japan/ |
SAP社は1972年、System Analysis Program Development (Systemanalyse Programmentwicklung)という会社名として創設され、現在はSAP社として本国をドイツに構える多国籍企業となっています。
SAP社は、SAP R/2、SAP R/3を皮切りにERPソフトウェア業界を牽引し、現在は次世代型ERPとしてビッグデータや人口知能(AI)のテクノロジーを活用したSAP S/4 HANAを提供しており、SAP ERPを導入した企業は世界で2億3000万社以上となっており、製品群も100種類以上となっているERP業界の巨頭となっています。
Oracle ERPは、Oracle社が提供するERPパッケージです。
Oracle Fusion Cloud ERPというサービス名で提供しており、SAPに並ぶ世界シェアトップクラスとなっていま
運営会社 | Oracle |
本国 | アメリカ合衆国 |
日本支社 | 日本オラクル株式会社 |
所在地 | 東京都港区北青山2-5-8オラクル青山センター |
HP | https://www.oracle.com/jp/ |
Microsoft Dynamics 356とは、Microsoft社が提供するERPパッケージです。
Office365(Word、Excel、Powerpoint、Sharepointなど)の製品とシームレスに情報連携する点は最大の魅力であり、使い慣れたツールで業務の効率化を実現します。さらには、Microsoft Power Appsにより自社でカスタマイズした追加開発を柔軟にできるメリットがあります。
運営会社 | Microsoft |
本国 | アメリカ合衆国 |
日本支社 | 日本マイクロソフト株式会社 |
所在地 | 東京都港区港南 2-16-3 品川グランドセントラルタワー |
HP | https://www.microsoft.com/ja-jp/ |
ERPパッケージを選ぶうえで失敗しない選定基準をご紹介します。
ERPシステムを選ぶ際は自社の業務領域の課題を解決できる基本機能があるかの充足性を確認しておきましょう。
例えば、下記はSAP ERPのモジュールリストになりますが、ERPを刷新する上でのスコーピングをしっかりと定義し選定することが大切になります。
略称 | SAPモジュール名称 |
---|---|
FI | 財務会計(FInancial Accounting) |
CO | 管理会計(Controling) |
PS | プロジェクトシステム(Project System) |
SD | 販売管理(Sales and Distribution) |
MM | 購買/在庫管理(Material Management) |
PP | 生産計画/管理(Production Planning and Control) |
QM | 品質管理(Quality Management) |
PM | プラントメンテナンス(Plant Maintenance) |
HR | 人事管理(Human Resources) |
ERPを選ぶ上で、レガシーシステム(既存のシステム)や他ツールとの連携や拡張性を知っておくことが重要です。
例えば、会計領域の場合、既に請求書や受注管理を管理している会計基幹システムなどをレガシーとして据え置きその他をERPに刷新する場合は、既存のシステムとの連携が必須となります。これらをシステム上でAPIとして連携させることでシームレスに情報をつなげることができます。
また、販売管理領域ではCRM・MA・SFAと呼ばれる顧客接点領域のシステムを使うことが多く、全社としての顧客情報や取引のトランザクションデータを一元的に管理しなければいけません。
ERPを選ぶうえで大切なことが導入後にしっかりと使いこなせるか?です。
特に、ERPシステムなどの導入において、IT部門がツール・システム選定・評価を行い、実際にツールを使う業務メンバーは選定に関与できない場合も多くあります。
例えば、既存で使い慣れているレガシーシステムとの反発が起こり、「導入したのに使いづらい」「前のシステムの方が慣れていた良かった」とツールの仕様感やUIに慣れずIT改革に失敗してしまうこともあります。
ERPシステムはSaaS型のクラウドサービスであるため長期に渡って使い続けることが多く、電話サポート・チャット・訪問によるサポート・導入コンサルタントなど様々なアフターサービスオプションがあります。
ERPのライセンス費用は1ユーザーあたりで課金されることが多く、安いもので月間数千円、高いもので月間数十万円と価格が大幅に異なります。
大企業となると実際にERPシステムを利用する人は数百人になることもあるため、ライセンスコストだけでも大きな費用負担になるため、導入によりROIがしっかり出るかを事前に算出するようにしましょう。
ERP導入のおいてプロジェクト担当者やIT担当者が気を付けておくべき課題やデメリットを紹介します。
ERPの導入において、システム導入費用や維持費用がかかってしまうのはデメリットになります。
例として、SAP S/4 HANA Cloudの料金はクライアントにより異なるため公式ページ上では非公開となっているため厳密な標準価格はありませんが、ライセンスの数を鑑みると数十万~数億円などになるケースもあります。
下記はERP導入にあたり想定される費用項目になります。
費用項目 | 内訳 |
---|---|
ライセンス費用 | ERPのパッケージタイプの利用ユーザー数ごとの費用 |
ハードウェア費用 | ERPを実装させるために必要なハードウェアの費用 |
初期導入費用(外注費) | ERP導入にあたるベンダーまたはコンサルティング委託費用 |
初期導入費用(販管費) | ERP導入における社内の人件費。プロジェクトとして推進検討することが多いため、SAP導入プロジェクトメンバーの工数が人件費となる。 |
トレーニング費用 | 社内の従業員向けに新システムの利用の定着化を推進するためのトレーニング費用。e-Learningや教育カリキュラムなどを組む場合がある。 |
周辺システム導入費用 | ERP製品の導入に際する周辺システムの費用。ERP刷新の場合、周辺システムも同時に更新・購入する場合がある。 |
ERP導入の難しさは、大規模システムのERPの複雑なシステムアーキテクチャーの理解やSAP導入の知見や経験が求められてることにあります。
ERP導入は規模も大きいことが多く、2~5年ほどかけてプロジェクトを発足・推進しリリース、運用保守まで行うことがあります。そのため、プロジェクトの推進可能なPMO経験や大規模システム導入によるベンダーマネジメント、システム全体PMOなどのスキルが求められます。
例として、ERPシェアNo1であるSAPには「SAP認定コンサルタント資格」という約100種類以上にもなる資格があり、ITベンダーやコンサルティングファームは資格保有者を公開しています。実際に、SAP公式サイトの「SAP 認定資格取得数」では、最新の取得ライセンスの内訳やどの企業が最も取得しているかをデータで可視化しています。
資格取得の多い企業では、アビームコンサルティング株式会社、アクセンチュア株式会社、富士通株式会社、日本アイ・ビー・エム株式会社、PwCコンサルティング合同会社が上位となっています。
ERP導入において経験者が必要になることを解説しましたが、一方で「そもそもSAP人材が不足している」という課題もあります。
経済産業省が調査した「IT人材育成の状況等について」では、2030年には高位シナリオで約79万人、中位シナリオで約59万人のIT人材が不足すると言われています。
更には、「SAP 2027年問題」にもあったように現在は多くの企業でSAP ERP刷新がブームになっていることから、各コンサル会社・ITベンダーでも慢性的なSAP ERP人材不足になっているのです。
そのため、早期に優秀なSAP人材を獲得する、または社内でSAP人材を育成・教育していくことが企業には求められています。
ERPコンサルタントとは、ERPの導入を専門としたコンサルタントです。
企業がERPやSAPコンサルタントに依頼する方法として、SAP、Oracle、MicrosoftなどのERPコンサルタントが在籍するコンサルティング会社/ITベンダーの企業、または個人のフリーランスコンサルタントに業務委託契約の形態で依頼する方法があります。
コンサルティングファームやITベンダーに依頼するケースです。
コンサルティングファームとはコンサルティングサービスを提供する会社を意味し、戦略・BIG4・総合・シンクタンク・人事/組織・FASなど専門分野ごとに多種多様な会社が存在します。中でも、総合系のコンサルティングファームの場合、SAPやOracle導入の経験を持つ専門家が多く在籍しています。
下記はSAP人材が多く在籍する「BIG4系コンサルティングファーム」「総合系コンサルティングファーム」「シンクタンク系コンサルティングファーム」の一例です。
会社に依頼するだけでなく、「個人」として活動するSAPやOracleのERP導入を専門とするフリーランスコンサルタントに依頼する方法もあります。
フリーランスコンサルタントとは、企業組織に属さず独立した個人でコンサルティングサービスを生業とするフリーランスの職種でありSAPを専業とする職種はSAPフリーランスとも呼ばれます。
コンサルタントとは、会社の多様な経営課題と向き合い解決のための打ち手の考案や施策を実行する専門家の仕事でありコンサル会社勤めをイメージする人が多いですが、中でもフリーランスコンサルタントは最近注目されている次世代の働き方となります。
内閣府の調査によるとフリーランス国内人口規模は341万人と年々増加にあります。さらには、2023年5月、厚生労働省がフリーランスの働き方を守る目的として「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)」(別名、フリーランス新法)が公布されフリーランスは今やハイクラスキャリアの選択肢の一つとなりました。
一方で、フリーランスに企業が直接依頼をする場合は業務委託契約や品質管理の面で注意が必要であるため、フリーコンサルタントマッチングエージェントの活用がおすすめです。最近ではSAPフリーランス専門エージェントもあるので有効に活用しましょう。
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ERPとはEnterprise Resource Planningの略称であり、企業の経営資源を一元的に管理する経営手法であり、個別最適でシステムを組む基幹システムと違い、財務会計・人事給与・販在庫購買管理・生産管理など異なる業務領域を全体最適の視点で統合的に情報を管理することを目的としていることを紹介しました。
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相馬秀幸(そうま ひでゆき)
株式会社SowLab 代表取締役社長
デロイトトーマツコンサルティング合同会社のマネージャーを経てフリーコンサルに独立後、コンサル×マーケティング×デジタルメディア開発スキルを活かし株式会社SowLabを創業。フリーランス検索プラットフォーム「コンサルフリー」を運営。これまでに、経営戦略、新規事業開発、M&A、マーケティング/営業戦略、次世代広告メディア戦略、WEB設計/開発、SEO戦略、生成AI推進など多数のコンサルタントプロジェクトを手掛ける。年間200名以上の企業の事業開発/DX/マーケティング責任者やフリーランスと公私ともに対話する。独自で立ち上げたメディアは過去に5つあり、企画・設計/開発・ライティング・SEO対策・広告宣伝営業・メディア監修などメディアにも精通する。