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SAPとは?基本機能・特徴、IT導入の流れを初心者向けに簡単に図解

SAPとは?基本機能・特徴、IT導入の流れを初心者向けに簡単に図解
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SAPとはドイツに本籍を置くSAP社が提供するERPパッケージです。

ERP(Enterprise Resources Planning)とは、財務管理・販売管理・在庫購買管理・物流管理・生産管理の各業務領域ごとの「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」を一元的に管理し高速なデータ処理する基幹システムであり、効率的な経営・ビジネスの運営を実現します。

中でも、SAPは1972年にERPを世界で初めて提供開始した業界のパイオニアであり、現在は「SAP 2025年(2027年)問題」のサポート終了を皮切りにERP刷新ブームが再到来しています。

更には、SAPはインメモリーベースにより高速化した第4世代の「SAP S/4 HANA」を提供を開始し、経済産業省が積極的に取り組むDX推進の背景から、企業の経営幹部やIT担当者はSAPに更に注目をするようになりました。

一方で、SAPとはITシステムの中でも広範囲かつ大規模なシステム機能や特徴を持つことから、初心者が理解することは簡単ではなく選定や導入には専門知識が求められる難しさがあります。

本記事では、SAPが全くわからない初心者の方向けに、DXコンサルタントのプロが「SAPの基本機能・特徴、IT導入の流れの基本知識」を図解つきで簡単にわかりやすく紹介していきます。

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相馬秀幸(株式会社SowLab)

監修
相馬秀幸
株式会社SowLab 代表取締役


大手製造業・デロイトトーマツコンサルティングを経てフリーコンサルに独立後、コンサル×メディア開発スキルを活かし株式会社SowLabを創業。製造・電子・通信・放送・広告/メディア・エンタメ業界を中心に、経営戦略、新規事業開発、M&A、組織人事戦略、マーケティング・営業戦略、次世代マスメディア戦略、SAP/ERP導入、生成AI活用、WEB設計/開発、SEO戦略など多数のコンサルプロジェクトを経験。

株式会社ソウラボ

執筆者/運営会社
株式会社SowLab

コンサルフリーマガジン事務局


コンサルフリーマガジンは株式会社SowLab(ソウラボ)が運営する日本最大級のコンサル情報メディア。新規事業開発・組織人事・マーケティング・生成AI・SAP/ERPを専門としたコンサルティング事業、フリーランスエージェント事業(コンサルフリー)、デジタルメディア事業を展開。
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目次

SAPとは

SAP ERPのサービスの実際のイメージ

SAPとはドイツに本国を置くSAP社が提供するERP製品です。

まずは初心者向けにSAP社の基本情報・SAP ERPの歴史・SAPの特徴を紹介します。

SAP社の基本情報

SAP
運営会社SAP SE
本国ドイツ
日本支社SAP ジャパン株式会社
所在地東京都千代田区大手町 1 丁目 2 番 1 号  三井物産ビル 11F・12F(受付:2F)
HPhttps://www.sap.com/japan/

SAP社は1972年、System Analysis Program Development (Systemanalyse Programmentwicklung)という会社名として創設され、現在はSAP社として本国をドイツに構える多国籍企業となっています。

日本支社であるSAPジャパンは1992年に設立され、国内でもERPが流行するようになりました。なお、読み方は「エス・エー・ピー」であり「サップ」とは呼びません。

厳密にはSAPとは会社名を意味しますが、SAP=ERPの印象も強いことから、多くの場合SAPという言葉自体でERPパッケージを意味する場合として頻出されるようになりました。

SAP社は、SAP R/2、SAP R/3を皮切りにERPソフトウェア業界を牽引し、現在は次世代型ERPとしてビッグデータや人口知能(AI)のテクノロジーを活用したSAP S/4 HANAを提供しており、SAP ERPを導入した企業は世界で2億3000万社以上となっており、製品群も100種類以上となっているERP業界の巨頭となっています。

SAP ERP製品の歴史

SAP ERP製品の歴史を時代の変遷ごとに見てみましょう。

下記は時代ごとのSAP ERPのバージョンの歴史一覧表です。

1972年世界初のERP「SAP R/1」がリリース
※資材管理生産計画手法のMRPを起源とし開発される
1979年第2世代「SAP R/2」がリリース
※SAP ERP独自言語のABAPが誕生しアドオン開発が可能になる。
1992年第3世代「SAP R/3」がリリース
※クライアント・サーバ型のERPパッケージとなる。
1992年SAPの日本法人(SAPジャパン)が設立
※日本ではSAP R/3 ECC6.0などが多く導入される。
2013年SAP S/4 HANAがリリース
※インメモリーベースの高速化処理が可能となる

日本で最も親しまれているのはSAPジャパンが発足した年代から2000年代に導入された「SAP R/3」となります。

SAP R/3はクライアント・サーバーシステムに初めて対応したバージョンであり、Windowsなどのオープンシステムで動作せることができるようになり普及しました。

その後、2004年にmySAP製品シリーズが発表されSAP R/3に相当する製品は「SAP ERP Central Component(ECC)」と呼ばれるようになり2027年までメインストリームサポートを受けることができます。

現在では、ECCの後継機となるSAP HANAが主流となってきており、今後導入検討・ERP刷新検討をされる場合のSAP ERPとなります。

SAP ERPパッケージの特徴

SAP ERPの特徴を3つご紹介します。

SAP ERPの特徴
  1. ERPアプリケーション市場シェアNo1
  2. ビジネスを包括的にカバーする豊富なポートフォリオ
  3. インメモリーベースの高速なスピード処理

特徴1. ERPアプリケーション市場シェアNo1

世界のERPベンダー別シェアを調査した「2021 ERP Applications Market Shares Split By Top 10 ERP Vendors and Others」では、SAPが業界シェアトップとなっており、グローバルで約40,000社以上が利用しているとされています。

世界ERPの市場シェアグラフ

米国の売上高ランキング1000社を意味するFortune 1000に代表する「Walmart」「Exxon Mobil」「Apple」「McKesson」「Chevron」「General Motors」などもSAP S/4 HANAを利用しているとされており、圧倒的な信頼と実績を得ていることがわかります。

特徴2. ビジネスを包括的にカバーする豊富なポートフォリオ

SAPはERPをはじめCRM・財務管理・支出管理・人事管理など豊富なポートフォリオを用意しておりビジネスプロセスを包括的に効率化する特徴があります。

下記はSAP ERPのダッシュボードのイメージですが、複雑化する関連部門の情報が一元的にかつわかりやすく可視化され見えるため、関連部門間の情報伝達がスムーズになり迅速な意思決定をすることができます。

SAP ERPのダッシュボードイメージ
SAP公式サイトより引用

下記は代表的なSAP製品のポートフォリオ一覧となります。

ERP包括的なモジュール型ERPとして組み込みAIとアナリティクスを活用しリアルタイムな業務を支援(SAP S/4HANA Cloud)
CRM・CXeコマース・マーケティング・セールス・サービスの各種関連データをつなぐ顧客関係管理システム(SAP CRM)
財務管理FP&A、会計、GRC などの業務の自動化が可能
支出管理Source-to-Payソリューション、外部人材管理ソリューション、T&E ソリューションにより支出の自動化を支援(SAP Ariba、SAP Fieldglass、SAP Concur)
人事・人材管理次世代型 HCM として、コア人事、タレントマネジメント、または従業員エクスペリエンス向け SAP SuccessFactors ソリューション
サプライチェーンサプライチェーン計画、製造、ロジスティクスなどのSAPソリューション

ご覧のように、SAPはERPを主としながらもCRM・財務管理・支出管理・HR・SCMなど幅広い業務領域に対するソリューションを提供しておりビジネスを包括的に支援する強みがあると言えます。

特徴3. インメモリーデータベースの高速なスピード処理

インメモリーデータベースとは、SAP S/4 HANAのコア技術として、メインメモリ(RAM)に搭載された膨大なデータを管理し高速に読み書きの処理をする機能です。

従来のSSD/HDDのデータベースと比べ、数百~数万倍の処理速度を実現すると言われています。

従来のディスクストレージなどのデータ保管の場合、データの保存と取得にかかる時間がかかってしまいシステムパフォーマンスを下げる要因になるのですが、データをコンピュータメモリ内に保持しているインメモリーデータベースであれば瞬時に処理ができるのです。

ガートナー社が調査した「ビジネス成果獲得に貢献した要因や取り組み」によると、貢献度の高い上位3つは「活用できるデータの種類・量・品質」「データ分析のスキル」となっており、企業経営においてデータと向き合っていくことが大切であることがわかります。

ガートナー社調査レポート(活用できるデータの種類・量・品質)が上位になっている

つまり、膨大なデータを企業として保持し活用しなければいけない昨今において、SAP S/4 HANAの最新のテクノロジーを活用することで企業の大きな競争戦力になるという強みがあるということです。

総じて、SAP ERPの特徴は、ERP業界で圧倒的な実績と支持を受けており、世界・日本において優れた技術と製品群により愛されているソフトウェアであることがわかります。

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ERPとは

ERPとは

SAPを正しく理解していくうえでERPの上位概念の理解は欠かせません。

ERPとはEnterprise Resources Planning(エンタープライズリソースプランニング)の略称であり、企業経営に必要となる「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の経営資源を一元的に管理し膨大なデータを統合的かつ迅速に処理する手法です。

それらの実現を支援するシステムやツールのことを「ERPパッケージ」と呼称され、基幹システム、統合基幹業務システムなどと呼ばれることもあります。

ERP普及の歴史

世界で初めてのERPは、1973年SAP社が開発した「SAP R/1」とされています。

それまで1960年~1970年代は大型コンピューターであるメインフレームが主流でしたが、個々の組織や部門で個別最適のシステムが乱立していることが多く情報管理の効率が悪い課題がありました。

メインフレームとは、基幹業務用の大型コンピューターのことでありERPが流行する前の多くの企業が導入していましたが、今のようなテクノロジーは発達しておらず各部門の専属オペレーターが処理をしていました。

その後、ERPが流行し、全体最適での基幹システムとして一元化することで業務の標準化・効率化・ビジネスの高度化を実現できることから注目が集まりました。

なお、ERPの起源は資材所要計画を意味するMRP(Material Resource Planning)であると言われています。

ERPの市場規模推移

矢野経済研究所の「ERPパッケージライセンス市場規模推移・予測」の調査結果では、国内のERP市場規模はエンドユーザ渡し価格ベースで2021年に1,278億円、2024年には1,476億円に増加すると予測しています。

矢野経済研究所調査レポート「国内ERP市場規模」

従来、各部門のマニュアル業務が多かった文化から、昨今では「データドリブン」「DX(デジタルトランスフォーメーション)」などと基幹システムへのニーズが高まっていることがわかります。

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SAPが注目される背景と理由

SAPのERPは1973年に開発されたシステムですが、なぜ今もなお注目されているのか?その背景と理由を紹介します。

その理由には「クラウド型のSaaSシフトとDXの加速」と「SAP2027年(2025年)問題によりERP刷新が行われている」の2つがあります。

クラウド型のSaaSシフトとDXの加速

世界のERPソフトウェア市場規模は2022年に547億6,000万ドル(米)とされ、2023年から2030年にかけてCAGR11%に拡大すると推測されています。

急拡大の背景としては、モバイル・クラウドアプリケーションの進化があります。

調査会社ITRの「ERP市場2023」のレポートによると、ERPのSaaS・パッケージ(IaaS)・パッケージ(オンプレミス)の中でも、クラウドシフトを意味するSaaSはCAGR(2021年~2026年)20.5%増と急成長をしていることがわかります。

ITRERPマーケットの製品群別シェア推移レポート

更に、日本国内においては、企業の国際競争力を高めることを目的に、経済産業省が取り組むDX推進への強化などもERPに更に注目が集まる後押しをしていると考えられます。

日本ではDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させるために、デジタルガバナンス・コードに沿ったDX銘柄(上場企業)、DX Selection(中堅・中小企業など)、DX認定(すべての事業者)などの施策を掲げており、企業の経営者はDXに全社的に取り組むようになりました。

SAP2027年(2025年)問題によりERP刷新が行われている

SAP2027年問題とは、SAP ERP製品である「SAP ERP6.0」または同梱される「SAP Business Suite」の標準サポートが2027年に終了し多くの企業がERP刷新・データ移行に奔走する問題を呼称したものです。

当時標準サポートの期限は2025年末と言われていたことから「SAP 2025年問題」と呼ばれていましたが、2027年にサポート延長をしたことから現在では2027年問題とされています。

そのため、既にSAP ERPを導入している企業は、サポートなしでSAPを使い続けるか、他システムへの移行するか、SAPの新システムにアップグレードするかなど選択を余儀なくされ経営陣やIT担当者は大掛かりなIT改革をしていることから再ブームが到来しています。

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SAPの基本モジュール一覧

SAP ERPのモジュール

SAP ERPを理解していくうえで、「モジュール」を知っておくことが大切です。

SAPのモジュールとはSAP製品が持つ業務プロセス領域別の機能群のことです。

SAPはERPとして一元的に管理される統合基幹システムではありますが、各業務領域ごとに標準機能で最適化されたアーキテクチャーで成り立っています。

下記はSAP ERPの主要なモジュール一覧になります。

略称SAPモジュール名称
FI財務会計(FInancial Accounting)
CO管理会計(Controling)
PSプロジェクトシステム(Project System)
SD販売管理(Sales and Distribution)
MM購買/在庫管理(Material Management)
PP生産計画/管理(Production Planning and Control)
QM品質管理(Quality Management)
PMプラントメンテナンス(Plant Maintenance)
HR人事管理(Human Resources)

SAPコンサルタントを目指す方のキャリアパスとして、「モジュールを習得する」「周辺モジュールを習得する」「特定領域のモジュールのスペシャリストになる」という流れが多いため、どのモジュールを強化するかも含めてみてみましょう。

財務管理(FI)

SAP FI(財務管理)とはFinancial Accountingの略称であり、会計関連の「財務会計領域」のモジュールです。

SAP FI(財務管理)とSAP CO(管理会計)はSAPシステムにおける独立したコンポーネントであることことから「SAP FICO」などと呼ばれることもあります。

そもそも財務会計とは企業の投資家や債権者など外部向けに作成する会計処理方法であり、外部からの出資や融資を受けるために、社外向けの財務諸表を公開することでステークホルダーからの評価を得ることを目的にしています。

モジュール名財務会計(FInancial Accounting)
略称FI
主な役割/機能社外向け財務諸表(損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー)の作成
サブモジュールとして下記がある。
・総勘定元帳(FI-GL)
・債権管理(FI-AR)
・債務管理(FI-AR)
・固定資産会計(FI-AA)
関連性の強いモジュール管理会計(CO)、販売管理(SD)、購買/在庫管理(MM)、生産計画/管理(PP)

SAP FIはメイン機能として社外向けの財務諸表を作成する機能を持ち、企業のトランザクションデータを集約する総勘定元帳(FI-GL)、債権管理(FI-AR)、債務管理(FI-AR)、固定資産会計(FI-AA)などのサブモジュールにより構成されています。

SAP ERPの中でも企業の根幹の機能を持つことや、SAP社が会計システムから始めたこともあり、コアモジュールとして導入する企業は多く存在し、実際に、SAP FIの認定コンサルタントも多く、ERPの全体を理解するためにも習得しやすい特徴があります。

管理会計(CO)

SAP CO(管理会計)とはControlingの略称であり、会計関連の「管理会計領域」のモジュールです。

管理会計とは自社向けに社内の意思決定や経営状況を把握するために作成する会計処理方法です。前述した財務会計は社外向けでしたが、自社向けに作成することで社内で見たい切り口で会計情報を整理する違いがあります。

モジュール名管理会計(Controling)
略称CO
主な役割/機能実績伝票の作成
計画伝票の作成
実績データ・計画データの比較
貢献利益管理の作成

サブモジュールとして下記がある。
・原価要素会計(CO-OM-CEL)
・原価センタ会計(CO-OM-CCA)
・活動基準原価計算(CO-OM-ABC)
・内部指図(CO-OM-OPA)
・製品原価管理(CO-PC)
・収益性分析(CO-PA)
・利益センタ会計(EC-PCA)
関連性の強いモジュール財務会計(FI)、販売管理(SD)、購買/在庫管理(MM)、生産計画/管理(PP)

SAP COの主要機能は「間接費管理(CO-OM)」「製品原価管理(CO-PC)」「収益性分析(CO-PA)」があり、自社向けの管理会計をメインスコープとしています。

SAP COはSAP FIで集約した各種データを自社向けに処理するプロセスの流れから、自社の経営管理や意思決定のプロセスやKGI・KPIの指標を正しく理解し導入を進めていくことがポイントになります。

販売管理(SD)

SAP SD(販売管理)とはSales and Distributionの略称であり、ロジ系の販売管理領域のモジュールです。

販売管理とは、システム内で定義された販売伝票(得意先引合・見積、受注、基本契約・分納契約、販売契約、無償出荷、クレームなど)に基づき多用な取引を実行することができます。

モジュール名販売管理(Sales and Distribution)
略称SD
主な役割/機能販売伝票から出荷伝票・請求伝票を処理する機能
販売伝票の処理
得意先引合/得意先見積
受注・部分受注(SD-SLS-PL)
即主な受注伝票
分納契約(登録・変更・紹介・完了)
得意先基本契約
クレーム
バックオーダー処理、など
関連性の強いモジュール財務会計(FI)、管理会計(CO)、販売管理(SD)、購買/在庫管理(MM)、生産計画/管理(PP)

SAP SDは企業の販売・出荷・請求プロセスにおいて販売伝票・出荷伝票・請求伝票を作成する機能を持っており、企業が取引先に対しどのような注文が入り、納期状況や請求状況を管理することができます。

在庫購買管理(MM)

SAP MM(在庫購買管理)とは、Material Managementの略称であり、「在庫・購買管理」のモジュールです。

在庫購買管理とは、発注依頼・購買発注・入庫・請求書照合などの機能を有し、購買にかかる一連のプロセスを管理する役割を持ちます。

モジュール名購買管理・在庫管理(Material Management)
略称MM
主な役割/機能明細に対する勘定設定の指定
品目マスタに登録されている品目の発注
品目マスタに登録されていない品目の葉中
製造者製品コードに対する品目の発注、など
関連性の強いモジュール財務会計(FI)、販売管理(SD)、生産計画/管理(PP)

生産計画・管理(PP)

SAP PP(生産・計画管理)とは、Production Planning and Controlの略称であり「生産管理」のモジュールです。

生産計画・製造指図・製造実行・生産性分析まで製造生産における一連のプロセスを効率化することができます。

モジュール名生産計画・管理(Production Planning and Control)
略称PP
主な役割/機能生産計画
製造指図
製造実績
関連性の強いモジュール販売管理(SD)、在庫・購買管理(MM)

品質管理(QM)

SAP QM(品質管理)は、Quality Managementの略称であり、「品質管理」のモジュールです。

品質管理は出荷される製品や材尾に受け入れる製品が製品品質の基準に満たしているかを自動的またはマニュアルの効率化をしてチェックすることができます。

モジュール名品質管理(Quality Management)
略称QM
主な役割/機能入庫処理用の品質検査
倉庫での品質検査
返品用の品質検査
関連性の強いモジュール販売管理(SD)、在庫・購買管理(MM)、生産計画管理(PP)

人事・給与管理(HR)

ERPの人事・給与管理機能は、採用管理・福利管理・人件費予算管理・勤怠管理・インセンティブ管理など人事や労務回りの業務を効率化する役割を果たします。

モジュール名人事管理(Human Resource)
SAP Succes Factors
略称HR
主な役割/機能人事管理
福利厚生管理
勤怠管理
給与計算
タレントマネジメント
ヒューマンエクスペリエンス管理
関連性の強いモジュール財務会計(FI)、管理会計(CO)

人事関連のERPとしては、HCM・HRIS・HRMSなどと呼ばれるシステムが存在します。

  • HCM(人事・人材管理):人事管理戦略の活動をサポートするシステム
  • HRIS(人事情報システム):福利厚生管理、勤怠管理、給与計算などのコア人事プロセスをサポートするシステム
  • HRMS(人事管理システム):タレントマネジメント機能やヒューマンエクスペリエンス管理(HXM)が追加されたシステム

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SAPを導入するメリットと活用事例

SAP ERPを導入することでどのようなメリットが得られるのか?実際の企業の活用事例を見ながら解説します。

SAP導入のメリット
  • 業務プロセスが標準化される
  • 複数部門の情報が一元化し多次元分析ができる

業務プロセスが標準化される(Fit-to-standard)

SAP ERPはグローバルでも豊富な実績があるベストプラクティスをベースにしている統合基幹システムであり、グローバルで十分な結果をもとに標準化されたシステムに業務を合わせることができます。

「Fit-to-Standard」とはITやシステム導入において、追加開発・アドオン開発を最小限に抑え業務プロセスをシステムに合わせていくアプローチです。

システム導入のよくある失敗事例として、現行業務に依存してしまいパッケージシステムの標準機能から逸脱し追加開発しすぎてしまい、本来のERP製品のシステム連携ができないことや、パッケージのバージョンアップデートに対応できなくなることがあります。

これらの課題を解決するためにグローバルスタンダードであるSAP ERPのシステムの標準に、財務管理・管理会計・販売管理・在庫/購買管理・生産計画管理・品質管理など企業経営に必要な業務プロセスのBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング/Business Process Re-engineering)を推進することができます。

複数部門の情報が一元化し多次元分析ができる

SAP ERPを導入することで、膨大なデータを一元的に管理することで関連部門の情報連携がスムーズになり業務負荷の軽減や人件費そのものを削減することができます。

従来、メインフレームの時代ではここに乱立したシステムが個別最適で管理されていましたが、ERPを導入することで全体最適(全社最適)での運用ができるため、会社として統一されたデータフォーマットに抜け漏れなく情報を綺麗に整理することが可能になります。

また、SAPの製品の良さは、ERPだけでなく周辺領域であるCRM・支出管理・SCMなどのソフトウェア群もあるため、会社全体で分断されていた情報を多次元的に分析・見える化することができます。

さらには、SAPは30種類以上の言語でサポートされており、国際会計基準にも対応しているため、グローバルに展開する企業でも国境をまたぎ全社的にDX推進を進めることができます。

SAP ERPのシステム導入手法と流れ

SAP導入のステップ

SAP ERPシステムの導入の流れをIT戦略策定からシステム導入・リリースまでの一連のプロセスごとにご紹介します。

1. DX戦略・IT戦略立案

SAP ERP導入をするうえで最初に行うのがIT戦略策定です。IT導入の場合、「プランニングフェーズ(Planning Phase)」とも呼ばれます。

昨今では、DX戦略(デジタルトランスフォーメーション)と呼ばれる、テクノロジーを駆使して業務プロセスの改善だけでなく、ビジネスモデルそのものを変革する考え方に基づき、自社の組織・カルチャー・風土を抜本的に見直すことが求められています。

特にERPは会社の横ぐし機能を持つ経営管理・人事組織・IT・法務などの組織と、バリューチェーン上の機能を持つ営業部門・販売管理・購買在庫管理・SCM・物流の組織全体に影響を与えるため、システム導入前に「何のためにERPを導入するか?(刷新するか)」の目的とゴールを定めることが大切です。

経済産業省は日本企業のDX推進(デジタルトランスフォーメーション)を加速させるために、DX銘柄(上場企業)、DX Selection(中堅・中小企業など)、DX認定(すべての事業者)などの施策を掲げており、それらの基準となるデジタルガバナンスコードにおいて下記の認定基準を発表しています。

経済産業省のDX推進の取り組み事例

柱となる考え方

企業は、ビジネスと IT システムを一体的に捉え、デジタル技術による社会及び競争環境の変化が自社にもたらす影響(リスク・機会)を踏まえた、経営ビジョンの策定及び経営ビジョンの実現に向けたビジネスモデルの設計を行い、価値創造ストーリーとして、ステークホルダーに示していくべきである。

認定基準

デジタル技術による社会及び競争環境の変化の影響を踏まえた経営ビジョン及びビジネスモデルの方向性を公表していること。

経済産業省:デジタルガバナンス・コード2.0より

自社の社員または外部のステークホルダーなどが納得する方針を打ち出し、成功事例としてモチベーション高くIT改革を進めていくことはERPシステム導入を成功させる最も大切な検討事項であるということがわかります。

2. ERPシステムの選定・評価

自社のIT戦略や指針を定めた後は、「ERPのどのベンダーの何の製品を導入するか?」を比較評価する必要があります。

ERPはSAPのほかにも、Oracle EBSやMicrosoftなどがあり、各ベンダーの中でも「大企業向けERP」「中小企業向けERP」、「業界特化のERP」など製品群も異なるため、ベンダー×製品種類ごとに評価をしなければいけません。

下記は、システムを選定する上での議論を行うためのシステム選定・評価シートの一例になります。

信用性提供企業のブランド
提供企業の財務体質
提供ソリューションの実績
提供ソリューションの業界事例
製品評価機能充足
業務適合性
バージョン管理
他システム連携
機能拡張性
保守性運用サポート体制
運用サポートの質
運用サポートのリードタイム
運用サポート人数
費用導入費用
ライセンス単価
ライセンス必要数
運用保守費用
その他費用

上表はシステム評価シートを簡略化してものであり、実際には数百個の選定項目を棚卸し、それぞれの項目に対し評点と重みづけを設定することで複数のソリューションを評価していきます。

「大企業向けERP」、「中小企業向けERP」、「業界特化のERP」などで自社の位置づけを鑑みて、おおよその代表的なソリューションは決まってくるため多くても10社程度から3社ほどにスクリーニングし深く狭く評価をしていくことが推進を効果的にするポイントになります。

3. 要件定義

導入するシステム・ツールが決まったら要件定義を行います。「デザインフェーズ(Design Phase)」などと呼ばれることがあります。

要件定義とは、現状の業務やシステムに対し、新システム導入により変化させたい要件を定義することでAsIsとToBeの変化点を明確化した文書を作成する作業です。

ビジネスサイドの「業務要件定義」と、システム・データサイドの「システム要件定義」が大きく存在し、現状の課題をヒアリングやアンケートで調査し整理することで「新システムで何を課題解決したいか?」を明確にします。

ERPなどの大規模システムの場合、実際に導入をしてから「以前よりも業務負荷があがった」「もともと想定していた課題が解消されていない」などの後悔をするケースも多く、それらの根本には要件定義が徹底できなかったことが挙げられます。

また、SAP ERPの場合、要件定義一覧書をもとにFit&Gap(フィット&ギャップ)と呼ばれる手法を用い、ERPの「標準のシステム機能で対応するもの」「アドオン開発で対応するもの」をシステム要件定義として振り分けをします。

業務要件定義とシステム要件定義

SAPの標準機能では対応できずアドオン開発のオブジェクトを「WRICEF(ライセフ)」と言います。WRICEFとはReports、Interfaces、Conversions、Extensions、Formsの5つに分類したものであり、システムの特性ごとに対応事項を検討します。

RICEFとは

▼RICEFとは

  • Reports:データ取得・データの表示/レポートをする機能群
  • Interfaces:外部システム連携を行う機能群
  • Conversions:データ移行用で使われる機能群
  • Extensions:データ更新処理を実行する機能群
  • Forms:帳票作成をする機能群

WRICEFを作成することで開発工数を見積り各対応体制のチームを構築し効率的かつ効果的なプロジェクト推進をすることができます。

つまり、要件定義とは以降で行うシステム設計・開発・テスト・UAT・リリース・運用保守において、IT導入の指針となる重要な定義書であると理解しておくことが大切です。

4. 設計・開発(パラメーター設定・ABAP/アドオン開発)

設計・開発フェーズでは「基本設計」「詳細設計」「プログラム開発」を行っていきます。開発フェーズをスコープとする場合、ビルドフェーズ(Build Phase)とも呼ばれます。

まず基本設計(カスタマイズ)とは、SAPの標準のパラメーター設定をする作業であり、要件定義で定めた要求事項をシステムに反映しながら理想とGAPがないかを確かめながら検証します。場合によっては、標準機能では充足できないと判断しアドオン開発対象になることもあります。

次に基本設計(アドオン開発)では、標準機能では対応できないWRICEFの対象をSAPの開発オブジェクトであるABAPにより開発します。

その後、詳細設計・開発と通常のシステム開発のアプローチと同様の流れになっていきます。

5. テスト

設計・開発完了後、テストフェーズ(Test Phase)では、単体テスト・結合テスト・総合テスト・受入テストを行いリリース前の最終チェックを行います。

IT導入におけるつとフェーズの違い(単体・結合・統合・受入)

▼各テスト工程

  • 単体テスト(UT):
    単体テストとは、設計・開発フェーズでプログラム開発した機能単位の動作確認をするテストです。
  • 結合テスト(IT):
    結合テストとは、単体のプログラムを連結させてシステム動作確認をするテストです。特に入力データと出力データの関係性やバグの有無を検証します。
  • 総合テスト(ST):
    総合的テストとは、要件定義に対しシステムで十分満たせているかの動作確認・要件充足確認をするテストです。
  • 受入テスト:
    受入テストとは、実際のクライアント環境で実装し正常に動くかの動作確認をするテストです。

上記のように段階的にテスト範囲を広げながら検証をしていきます。

6. データ移行

データ移行フェーズは「Migration Phase」とも呼ばれ、SAP ERPをリリースする前に最新の全情報を古いシステムやデータ基盤から新しいシステムに移行します。

データ移行

データ移行は、鮮度の高い情報を網羅的に移行することが絶対条件であるため、事前に移行のトライアルをしたり移行用の中間データフォームを作成します。

データ移行の注意点としては、古いシステムと新しいシステムで管理するデータフォーマットが異なる場合が多いため、「名寄せ(同一の意味だが名称が違い項目を統一すること)」や「データマッピング(現行システムと移行先システムのデータを紐づける作業)」、「データクレンジング(データを最新かつ正確なものに整理すること)」をすることが大切になります。

7. リリース・運用・保守

データ移行を完了するとシステムリリースをし、その後運用・保守フェーズになります。

運用・保守はハイパーケア(Hyper Care)とも呼ばれ、日々変わるデータやオペレーションが問題なく円滑に進められるようITサポート部門やサービスデスクがFAQ対応・インシデント管理・データ管理を行います。

システム導入のゴールは「システムを導入すること」ではなく「システムを導入し課題を解決し経営を強化すること」です。さらには、日々経営状況や組織体制、データ項目の規定などは変更が行われるため、最適なサポート体制で迅速かつ効果的なハイパーケアをすることが求められます。

運用・保守の大前提として、「必ずトラブルや変更はある」と認識し、当初定義した要件やシステム設計をどのような基準で変更するかの変更管理基準の設定や、社内の問い合わせプロセス・問い合わせ窓口の整備をすることが大切です。

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SAP導入時の課題・デメリットと注意点

SAP導入のおいてプロジェクト担当者やIT担当者が気を付けておくべき課題やデメリットを紹介します。

SAP導入時の課題・デメリット
  • ライセンスの維持費用がかかる
  • SAPに関する知見がないと導入が難しい
  • SAPコンサル・IT人材が慢性的に不足している

システム導入・維持費用がかかる

SAP ERPの導入において、システム導入費用や維持費用がかかってしまうのはデメリットになります。

SAP S/4 HANA Cloudの料金はクライアントにより異なるため公式ページ上では非公開となっているため厳密な標準価格はありませんが、ライセンスの数を鑑みると数十万~数億円などになるケースもあります。

下記はSAP ERP導入にあたり想定される費用項目になります。

費用項目内訳
ライセンス費用SAP ERPのパッケージタイプの利用ユーザー数ごとの費用
ハードウェア費用SAP ERPを実装させるために必要なハードウェアの費用
初期導入費用(外注費)SAP ERP導入にあたるベンダーまたはコンサルティング委託費用
初期導入費用(販管費)SAP ERP導入における社内の人件費。プロジェクトとして推進検討することが多いため、SAP導入プロジェクトメンバーの工数が人件費となる。
トレーニング費用社内の従業員向けに新システムの利用の定着化を推進するためのトレーニング費用。e-Learningや教育カリキュラムなどを組む場合がある。
周辺システム導入費用SAP ERP製品の導入に際する周辺システムの費用。ERP刷新の場合、周辺システムも同時に更新・購入する場合がある。

SAP導入知見や資格がないと理解が難しい

SAP導入の難しさは、大規模システムのERPの複雑なシステムアーキテクチャーの理解やSAP導入の知見や経験が求められてることにあります。

SAP導入は規模も大きいことが多く、2~5年ほどかけてプロジェクトを発足・推進しリリース、運用保守まで行うことがあります。そのため、プロジェクトの推進可能なPMO経験や大規模システム導入によるベンダーマネジメント、システム全体PMOなどのスキルが求められます。

SAPには「SAP認定コンサルタント資格」という約100種類以上にもなる資格があり、ITベンダーやコンサルティングファームは資格保有者を公開しています。実際に、SAP公式サイトの「SAP 認定資格取得数」では、最新の取得ライセンスの内訳やどの企業が最も取得しているかをデータで可視化しています。

SAP認定資格(ライセンス)の人気ランキング

資格取得の多い企業では、アビームコンサルティング株式会社、アクセンチュア株式会社、富士通株式会社、日本アイ・ビー・エム株式会社、PwCコンサルティング合同会社が上位となっています。

SAP認定資格取得者数会社ランキング

SAPコンサル・IT人材が慢性的に不足している

SAP導入において経験者が必要になることを解説しましたが、一方で「そもそもSAP人材が不足している」という課題もあります。

経済産業省が調査した「IT人材育成の状況等について」では、2030年には高位シナリオで約79万人、中位シナリオで約59万人のIT人材が不足すると言われています。

経済産業省レポート、IT人材不足の推測

更には、「SAP 2027年問題」にもあったように現在は多くの企業でSAP ERP刷新がブームになっていることから、各コンサル会社・ITベンダーでも慢性的なSAP人材不足になっているのです。

そのため、早期に優秀なSAP人材を獲得する、または社内でSAP人材を育成・教育していくことが企業には求められています。

企業がSAPコンサルタントに依頼する方法

SAPコンサルタントとは、SAPの導入を専門としたコンサルタントです。

企業がSAPコンサルタントに依頼する方法として、SAPコンサルタントが在籍するコンサルティング会社/ITベンダーの企業、または個人のフリーランスコンサルタントに業務委託契約の形態で依頼する方法があります。

SAP導入コンサルティングファーム・ITベンダーに依頼する

コンサルティングファームやITベンダーに依頼するケースです。

コンサルティングファームとはコンサルティングサービスを提供する会社を意味し、戦略・BIG4・総合・シンクタンク・人事/組織・FASなど専門分野ごとに多種多様な会社が存在します。中でも、総合系のコンサルティングファームの場合、SAP導入の経験を持つ専門家が多く在籍しています。

コンサルティングファームの業界マップ

下記はSAP人材が多く在籍する「BIG4系コンサルティングファーム」「総合系コンサルティングファーム」「シンクタンク系コンサルティングファーム」の一例です。

BIG4系コンサルティングファーム一覧
  • デロイトトーマツコンサルティング合同会社(DTC)
  • PwCコンサルティング合同会社
  • KPMGコンサルティング株式会社
  • EY Japan株式会社
総合系コンサルティングファーム一覧
  • アクセンチュア株式会社
  • アビームコンサルティング株式会社
  • 日本アイ・ビー・エム株式会社(IBM)
  • 株式会社日立コンサルティング
  • 株式会社ベイカレント・コンサルティング
  • 株式会社シグマクシス・ホールディングス
シンクタンク系
コンサルティングファーム一覧
  • 株式会社野村総合研究所(NRI)
  • 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所(NTTデータ)
  • 株式会社大和総研
  • 株式会社三菱総合研究所(MRI)
  • 株式会社日本総合研究所
  • 株式会社富士通総研
  • 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
  • みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社

フリーランスSAPコンサルタントに依頼する

会社に依頼するだけでなく、「個人」として活動するSAPのフリーランスコンサルタントに依頼する方法もあります。

フリーランスコンサルタントとは、企業組織に属さず独立した個人でコンサルティングサービスを生業とするフリーランスの職種でありSAPを専門とする人をSAPフリーランスとも呼びます。

正社員コンサルとフリーランスコンサルタントの違い

コンサルタントとは、会社の多様な経営課題と向き合い解決のための打ち手の考案や施策を実行する専門家の仕事でありコンサル会社勤めをイメージする人が多いですが、中でもフリーランスコンサルタントは最近注目されている次世代の働き方となります。

内閣府の調査によるとフリーランス国内人口規模は341万人と年々増加にあります。さらには、2023年5月、厚生労働省がフリーランスの働き方を守る目的として「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)」(別名、フリーランス新法)が公布されフリーランスは今やハイクラスキャリアの選択肢の一つとなりました。

一方で、フリーランスに企業が直接依頼をする場合は業務委託契約や品質管理の面で注意が必要であるため、フリーコンサルタントマッチングエージェントの活用がおすすめです。最近では、SAPフリーランス専門エージェントもありますので有効に活用していきましょう。

当メディアを運営している株式会社SowLabもフリーコンサルタント専門のを運営していますのでお気軽にご相談ください。

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未経験からSAPコンサルタントになるためのキャリアパス

本記事を読んでい頂いている方で「SAPコンサルタントになりたい」と思われている方もいると思いますので、SAPコンサルタントになるための方法を紹介します。

STEP1. コンサル会社・ITベンダーに転職して経験を積む

まずはSAPの実務経験を積めるコンサル会社やITベンダーに転職することをおすすめします。

周りにSAPの有識者が多い方が急成長でスキル獲得ができるため、まずは転職準備をしていきましょう。

未経験からコンサルタントに転職する方法は下位記事をご覧ください。

STEP2. SAPモジュールコンサルのベースを身につける

SAPコンサルタントになる上で最初のステップは、何か一つモジュールを習得することです。

下記、モジュール一覧を見ながら、自身がこれまで経験してきた業務領域や興味関心のあるモジュールを選択していきましょう。

略称SAPモジュール名称
FI財務会計(FInancial Accounting)
CO管理会計(Controling)
PSプロジェクトシステム(Project System)
SD販売管理(Sales and Distribution)
MM購買/在庫管理(Material Management)
PP生産計画/管理(Production Planning and Control)
QM品質管理(Quality Management)
PMプラントメンテナンス(Plant Maintenance)
HR人事管理(Human Resources)

STEP3. 複数モジュールのプロフェッショナルになる

モジュールをひとつ絞り込み資格の取得や導入経験を積んだ後は、周辺モジュールや開発オブジェクト、NewITなどの周辺技術を身につけましょう。

いわゆる「掛け算」の方式で、例えば、FIを学んだらCO、SDを学んだらPPなど関連性が深く業務関係性もあるモジュールの対応範囲を広げていくことでプロジェクトで価値を発揮できる領域が変わってきます。

また、同時にIT導入フェーズでの経験も積むことが必要であり、IT戦略・IT選定/評価・要件定義・設計/開発・データ移行・運用/保守、と一連の流れを理解し経験をできる人は希少価値が更に高まります。

SAP導入のステップ

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SAPとは、財務管理(FI)・管理会計(CO)・販売管理(SD)・生産管理(PP)・在庫購買管理(MM)・品質管理(QM)・人事管理(HR)など、経営に必要なヒト・モノ・カネ・情報を一元的に管理するERPシステムとして圧倒的なシェアを信頼性があることをご紹介しました。

SAPコンサル依頼でお悩みの企業の方

企業が抱えるお悩み

一方で、SAPの導入を自社で検討する際に「やり方がわからない」「どのように検討を進めていくべきか迷っていしまう」など、活用するハードルが高いと思われる方も多いでしょう。

  • ERP導入におけるDX/IT戦略が立案ができない
  • ERP導入のやり方ががわからない
  • ERP導入のプロジェクトを立ち上げたいが組織体制づくりがうまくできない
  • 外部コンサルタント人材をコンサル会社に依頼したいけどコストが高い
  • 正社員ではなくスポットでDX・ERP・SAPに詳しい人材に手伝ってもらいたい

このようなお悩みを持たれている企業の担当者の方、是非、フリーランスのDXコンサル集団であるにご相談ください!

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は即戦力のフリーランスが集まるSAP・ERPコンサル集団です。ERP・基幹システム刷新、IT戦略、要件定義、設計/開発、テスト、データ移行、運用保守などSAP(FI/CO/SD/PP/MM)のモジュールコンサル・ABAP開発エンジニアリングなどに特化しており、外資/内資コンサル・ITベンダー・SE出身者が多数在籍しています。

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相馬秀幸(株式会社SowLab)

相馬秀幸(そうま ひでゆき)

株式会社SowLab 代表取締役社長


デロイトトーマツコンサルティング合同会社のマネージャーを経てフリーコンサルに独立後、コンサル×マーケティング×デジタルメディア開発スキルを活かし株式会社SowLabを創業。フリーランス検索プラットフォーム「コンサルフリー」を運営。これまでに、経営戦略、新規事業開発、M&A、マーケティング/営業戦略、次世代広告メディア戦略、WEB設計/開発、SEO戦略、生成AI推進など多数のコンサルタントプロジェクトを手掛ける。年間200名以上の企業の事業開発/DX/マーケティング責任者やフリーランスと公私ともに対話する。独自で立ち上げたメディアは過去に5つあり、企画・設計/開発・ライティング・SEO対策・広告宣伝営業・メディア監修などメディアにも精通する。

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